事業承継対策は早いほうがよい

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はじめに

長年にわたり我が子同然に育ててきた会社を人に譲り、自分はその場から離れるなどということは,だれも進んで考えたいものではありません。まだまだやれるという自信と、そろそろ身を引く時期かもという不安の狭間で心が揺れ動き、月日だけが経過していく・・・中小企業における事業承継の実態だと思います。ですが,事業承継の準備を先延ばしにすればするほど、事業承継の実現が困難になります。①継いでくれる後継者が見つからずに廃業した,②経営者としてのスキル不足で後継者が承継した後に急速に業績低下した,③自社株を後継者に移転しようにも株価が高くなりすぎて買取り資金が用意できない,④税金対策をしていなかったので、相続税、贈与税が払えない,⑤経営者が病に倒れて、事業運営が困難になった,などという事態は取引先のためにも従業員のためにも避けなければなりません。事業承継の準備を怠ってしまったばかりに、自分や社員、その家族、取引先等の人々が不幸になってしまうのは、どんな経営者でも望んでないことでしょう。とはいえ,事業承継の準備には相応の時間が必要となってきます。以下,理由を述べます。

後継者の選定に要する期間

安心して経営を任せられる後継者を見つけるには長い時間を要します。後継者を決定するまでには,①後継者候補者の選定,②後継者自身の承継の意思確認,③経営者スキルの習得・業務遂行スキル獲得のための教育を実施,④経営者と後継者間での最終的な合意形成といったステップを踏みます。いずれもじっくり取り組むべきもので、計画的な実施を要します。

自社株式の承継に要する期間

中小企業の株式には、経営者以外にも多くの人がいる場合があります。株主は経営の意思決定に関与する権利を有しているので、株主が分散したまま事業承継を実行すると、後々、経営方針や活動に対して様々な形で反対意見を言ってきたり、権利を行使したりして経営が不安定化します。また、現在の株主に相続が発生すると相続人が新たな株主となってより一層株主の分散化が進む可能性があります。こうした様々なリスクを減らすため、経営者または後継者への株式の集約化を進めるのですが、適正な株式評価額をめぐる争いや、買い取り資金の問題、株式売買や贈与時の税負担の問題が生じることが多々あります。

財務体質改善のたに要する期間

後継者が決まっているという場合でも、財務内容が悪い原因で事業承継が頓挫することもあります。赤字決算が続き今後の事業の見通しが暗いと、後継者は承継することを躊躇します。黒字決算であっても借入金の負担が大きいと個人保証の引き継ぎや個人資産の担保差し入れについて、不安に感じるのは当然です。経営者も財務内容の悪い会社を後継者に承継させることに引け目を感じ、事業承継の話すらできないこともあります。こうした会社の事業承継は、基本的にはまず、経営改善策を立案、実行して黒字決算を実現し、借入金の圧縮に努める必要があります。経営改善も一朝一夕にはできるものではないので、中長期的な検討が必要となります。

関係者の了承を得るために要する期間

事業承継は経営者と後継者が合意しさえすればよいのであれば話は簡単です。しかし,例えば経営者が所有する土地や建物を会社に貸している場合、経営者が亡くなって相続人がそれらの不動産を相続すると、これまでのように会社が使用できなくなることも考えられます。また、後継者が新しい経営者になることを社員や金融機関が拒むケースもあります。事業承継では経営者の親族、社員、金融機関とも事前に協議するなどして、承継の承認を得て、承継後の協力を約束していただくことが大切です。

高齢になるにつれた体力・気力の衰え

元気な経営者であっても、年齢と共に体力や気力が衰えていきます。体力・気力の衰えにより事業承継対策に積極的に取り組むことが難しなり、人によっては,あとは野となれ山となれよろしく開き直り、後継者や周囲の人たちを苛立たせます。特に認知症の症状が現れると事業承継の実現が非常に難しくなります。また高齢経営者は、事業承継するための心の整理にも多くの時間を要する傾向にあります。会社、後継者、自分、社員、その他の関係者、それぞれの立場で物事を考え、全体を俯瞰して事業承継の実行計画を策定するには、心身ともに元気なうちに行う方が望ましいことは言うまでもありません。

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