売買の方法によった場合の注意点

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  自社株式を相当価格で売買するための代金を調達できる場合には、自社株式の承継のさせ方としては、売買によることがよいです。しかし、売買による承継が最も法的に安定するとしても、気をつけなければならないポイントはいくつかあります。そこで、ここでは売買による承継の注意点について見ておくことにしましょう。

売買代金の相当性

 自社株式の売買にあたっては、何よりも適正な代金額を決定することが重要です。売買代金額が不当に廉価である場合、贈与とみなされる場合があります。相続税法7条が定めるいわゆる「見做し贈与」です。本規定が適用されると、生前贈与として遺留分減殺の対象となってしまう場合がありえます。国税との関係で売買が否認されては意味がないので、国税庁の通達で定められている方式により評価するの無難でしょう。なお、個人株主が株式を売ると、譲渡益に対して所得税と住民税がかかりますので、確定申告が必要です。

証拠書類の作成・保管

   売買に関して、売買契約の有効性について争われる場合がありえます。売買契約の有効性に関する後日の紛争を防ぐため、契約書等の証拠書類を確保しておきましょう。売買契約書には、売主・買主とも住所・氏名を自筆で書いた上、実印を押印し、印鑑証明書を添付しておきましょう。売買契約書を公正証書としておければ、形式面については万全といえるでしょう。

売買代金の処理

   自社株式の売買が仮装のものであるとの争いが生じないように、売買代金の授受を明らかにできる証拠を確保しておきましょう。買主である後継者の銀行口座から売り主である旧代表者の銀行口座に対して送金すれば、通帳の記載から売買代金の授受が明らかになります。もっとも、直前に売買代金が旧代表者から後継者に貸し付けられており、資金がぐるっと回っているだけだとすると、却って売買が仮装だとの主張を裏付けることになりかねないので注意しましょう。

社内手続の履行

   閉鎖会社においては、定款で株式譲渡に制限を設けている会社が一般的です(会社法10711号、10814号)。取締役会において株式譲渡の承認決議をして取締役会議事録(会社法3693項)を作成しておきましょう。株主名簿(会社法125条)も忘れずに整備しておきましょう。法人税の確定申告書の「法人事業概況説明書」には「株主又は株式所有異動の有無」という欄があります。売買があれば「有」と記載してしておきましょう。関係書類を整備しておかないと、後継者に対する株式の売却に納得しない利害関係人から、社内手続の不備を理由に株式譲渡の効力を争われる可能性があります。

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