最判昭和35年7月19日民集14巻9号1779頁

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最判昭和35年7月19日民集14巻9号1779頁

減殺請求後の転得者に対する減殺請求とその消滅時効の起算点

      主   文

本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。

      理   由

上告代理人菅原勇の上告理由第一点について。
所論の実質は原審の適法な証拠判断の非難にすぎず,上告適法の理由と認められない。
同第二点について。
しかし,被上告人甲が上告人らの登記の欠缺を主張し得る第三者に該当することは当裁判所の判例の趣旨に照らして明らかである(昭和33年10月14日判決,民集12巻3111頁)。そして原判決は,亡乙名義に所有権移転登記がなされた時において乙は本件不動産につき完全な所有権を取得し,上告人らは何らの権利をも有しなくなったとし,被上告人丙及び丁が登記義務を承継したとしても,同人らから本件不動産を買受けた被上告人甲において所有権移転登記を得た以上,特段の事情のない限り登記義務は履行不能に帰したと判示して,上告人らの請求を排斥しているのであり,その判断は正当であるから,論旨は理由がないことに帰する。
同第三点について。
所論は原審の適法な証拠判断の非難にすぎず,上告適法の理由と認められない。
同第四点について。
しかし上告人らの減殺請求により本件不動産が全部上告人らの所有に帰したとする所論の立場に立ってみても,未登記の上告人らは被上告人丙,及び丁から本件不動産を買受け所有権移転登記を経た被上告人甲に対し,所有権取得をもって対抗し得ないのであるから,所論は原判決の結論に影響のないものであり,採用に値しない。
同第五点,第六点について。
亡乙に対する減殺請求後,本件不動産を買受けた被上告人甲に対し減殺請求をなし得ないとした原審の判断,並びに時効の起算点に関する原審の判断は,いづれも正当であり,その間に齟齬はないから,論旨はすべて理由がない。
上告代理人加藤行吉,同工藤祐正の上告理由第一点について。
所論は原判決に即せず,第一審判決の違法をいうもので,上告適法の理由と認められない。
同第二点について。
所論の理由のないことは前記菅原代理人の上告理由第二点の説示により諒解すべきである。
同第三点について。
上告人らが贈与を受けたにしてもその所有権の取得をもって対抗できないものである以上,所論の事実を必ずしも確定する必要はないから,原判決に所論の違法あるものとは言えない。
同第四点について。
遺留分に反する譲渡行為であってもそのため当然無効となるものではなく減殺請求に服するにすぎない。そして本件は被相続人戊の生前の二重贈与と減殺請求の事実に関するもので,単なる相続人間の相続財産の所有権取得の主張の問題ではないから,所論のような理由によって原判決の判断を違法と解することはできない。引用判例は適切でなく,論旨は理由がない。
よって,民訴四〇一条,九五条,九三条一項,八九条に従い,裁判官全員の一致で,主文のとおり判決する。
最高裁裁判長裁判官河村又介  裁判官島 保,同垂水克己,同高橋 潔,同石坂修一


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