最判平成14年9月24日家月55巻3号72頁

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最判平成14年9月24日家月55巻3号72頁

ワープロで秘密証書遺言書の表題及び本文につき入力印字者が民法970条1項3号の筆者であるとされた事例

      主   文

本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

      理   由

上告代理人斎藤勝,同片岡壽,同関根靖弘の上告受理申立て理由について
原審の適法に確定した事実関係は,次のとおりである。
亡丁は,財産全部を妻である上告人に相続させる旨の本件遺言をした。本件遺言書の記載は,表題,本文,作成年月日並びに遺言者である丁の住所及び氏名から成るところ,そのうち,作成年月日である「平成十年十一月拾五日」の記載のうちの「拾五」の部分及び氏名は丁が自筆で記載したが,その余の部分はワープロで印字されている。この印字部分は,上告人の子である戊の妻己が,市販の遺言書の書き方の文例を参照し,ワープロを操作して,その文例にある遺言者と妻の氏名を丁及び甲に置き換え,そのほかは文例のまま入力し,印字したものである。丁は,本件遺言を秘密証書の方式によってすることとし,横浜地方法務局所属公証人庚及び証人2人の前に本件遺言書を入れた封書を提出し,自己の遺言書である旨及び丁自身がこれを筆記した旨述べたが,遺言書の筆者として己の氏名及び住所を述べなかった。
上記事実関係の下においては,本件遺言の内容を筆記した筆者は,ワープロを操作して本件遺言書の表題及び本文を入力し印字した己であるというべきである。丁は,公証人に対し,本件遺言書の筆者として己の氏名及び住所を申述しなかったのであるから,本件遺言は,民法970条1項3号所定の方式を欠き,無効である。
これと同旨の原審の判断は正当として是認することができ,原判決に所論の違法はない。論旨は,独自の見解に立って原判決を非難するものにすぎず,採用できない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

最高裁裁判長裁判官 上田豊三 裁判官金谷利廣,同奥田昌道,同濱田邦夫


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