最判昭和61年11月20日民集40巻7号1167頁

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最判昭和61年11月20日民集40巻7号1167頁

不倫な関係にある女性に対する包括遺贈が公序良俗に反しないとされた事例

      主   文

本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。

      理   由

上告代理人下光軍二,同佐藤公輝の上告理由第一について
所論の点に関する原審の事実認定は,原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足り,その判断の過程に所論の違法はない。論旨は,畢竟,原審の専権に属する証拠の取捨判断,事実の認定を非難するものにすぎず,採用できない。
同第二,第三について
原審が適法に確定した,(1)亡Y夫は妻である上告人一美がいたにもかかわらず,被上告人と遅くとも昭和四四年ごろから死亡時まで約七年間いわば半同棲のような形で不倫な関係を継続したものであるが,この間昭和四六年一月ころ一時関係を清算しようとする動きがあったものの,間もなく両者の関係は復活し,その後も継続して交際した,(2)被上告人との関係は早期の時点で亡Y夫の家族に公然となっており,他方亡Y夫と上告人一美間の夫婦関係は昭和四〇年ころからすでに別々に生活する等その交流は希薄となり,夫婦としての実体はある程度喪失していた,(3)本件遺言は,死亡約一年二か月前に作成されたが,遺言の作成前後において両者の親密度が特段増減したという事情もない,(4)本件遺言の内容は,妻である上告人一美,子である上告人二美及び被上告人に全遺産の三分の一ずつを遺贈するものであり,当時の民法上の妻の法定相続分は三分の一であり,上告人二美がすでに嫁いで高校の講師等をしているなど原判示の事実関係のもとにおいては,本件遺言は不倫な関係の維持継続を目的とするものではなく,もつぱら生計を亡Y夫に頼っていた被上告人の生活を保全するためにされたものというべきであり,また,右遺言の内容が相続人らの生活の基盤を脅かすものとはいえないとして,本件遺言が民法九〇条に違反し無効であると解すべきではないとした原審の判断は,正当として是認できる。原判決に所論の違法はなく,論旨は,独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず,採用できない。
よって,民訴法四〇一条,九五条,八九条,九三条に従い,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
最高裁裁判長裁判官谷口正孝 裁判官角田禮次郎,同高島益郎,同大内恒夫,同佐藤哲郎


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