最判昭和47年5月25日民集26巻4号805頁

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最判昭和47年5月25日民集26巻4号805頁

死因贈与の取消と民法1022条

      主   文

本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

      理   由

上告代理人諸冨伴造の上告理由第一点及び第二点について。
所論の点に関する原審の認定判断は,原判決挙示の証拠関係に照らして首肯することができ,この認定判断の過程に所論の違法は認められない。論旨は,畢竟,原審の専権に属する証拠の取捨判断,事実の認定を非難するものにすぎず,採用できない。
同第三点について。
所論は,原判決には,死因贈与について遺言の取消に関する民法一〇二二条の準用を認めた法令の解釈適用の誤りがあり,かつ,本件死因贈与は夫婦間の契約取消権によって取消しえないものであると解しながら,右民法一〇二二条の準用によってその取消を認めた理由そごの違法がある,というものである。
おもうに,死因贈与については,遺言の取消に関する民法一〇二二条がその方式に関する部分を除いて準用されると解すべきである。何故なら,死因贈与は贈与者の死亡によって贈与の効力が生ずるものであるが,かかる贈与者の死後の財産に関する処分については,遺贈と同様,贈与者の最終意思を尊重し,これによって決するのを相当とするからである。そして,贈与者のかかる死因贈与の取消権と贈与が配偶者に対してなされた場合における贈与者の有する夫婦間の契約取消権とは,別個独立の権利であるから,これらのうち一つの取消権行使の効力が否定される場合であっても,他の取消権行使の効力を認めうることはいうまでもない。それ故,原判決に所論の違法は存しないというべきである。論旨は,独自の見解に立脚して,原判決を非難するものであって,採用できない。
同第四点について。
原判決は,被上告人甲を除くその余の被上告人らについては,その申立の限度で請求を認容したものである。それ故,原判決に所論の違法はなく,論旨は採用するに足りない。
同第五点(一)について。
記録に徴し本件訴訟の経過に鑑みれば,原審が所論の証拠調をしなかったとしても違法とはいえない。原判決には所論の違法はなく,論旨は採用できない。
同第五点(二)について。
所論は違憲をいうが,その実質は,原判決に民訴法違背がある旨の主張にすぎないところ,本件記録に徴すれば,被上告人らの主張には,訴外乙が上告人に対する本件土地建物の死因贈与の意思表示を撤回した旨の主張が含まれている旨の原審の判断は正当として是認できる。原判決に所論の違法はなく,論旨は採用できない。
よって,民訴法四〇一条,九五条,八九条に従い,裁判官全員の一致で,主文のとおり判決する。
最高裁裁判長裁判官岸 盛一 裁判官岩田 誠,同大隅健一郎,同藤林益三,同下田武三

 


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