最判昭和44年10月30日民集23巻10号1881頁

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最判昭和44年10月30日民集23巻10号1881頁

占有と相続

       主   文

本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。

       理   由

上告人らの上告理由第一点,第二点及び上告代理人寺井俊正の上告理由第一点について。
自作農創設特別措置法による売渡を受けた後,本件土地につき耕作の事業を主宰していた者は,右土地を所有していた甲であり,乙夫妻は,甲の両親として,甲のため,事実上右土地の耕作に従事していたにすぎなく,本件土地は甲の自作地であったものであり,被上告人は甲から農地法所定の手続を経て適法に本件土地の所有権を取得したものである旨の原審の認定判断は,原判決挙示の証拠関係に照らして首肯できる。所論は,原判決の適法にした事実認定を非難するか,原判決の認定しない事実または原判決の認定と異なる事実に基づいて原判決を非難するものであるが,原判決には所論の違法はない。論旨は採用できない。
上告代理人寺井俊正の上告理由第二点について。
被相続人の事実的支配の中にあった物は,原則として,当然に,相続人の支配の中に承継されるとみるべきであるから,その結果として,占有権も承継され,被相続人が死亡して相続が開始するときは,特別の事情のないかぎり,従前その占有に属したものは,当然相続人の占有に移ると解すべきである。それ故,本件においては,乙の死亡により相続が開始したときは,特別の事情のないかぎり,従前その占有に属したものは当然その相続人の占有に移るものというべく,特別の事情の認められない本件においては,本件土地に対する乙の占有は,その相続人である上告人らの占有に移ったものといわなければならない。これと結論を同一にする原判決の判断は相当である。原判決には所論の違法はなく,論旨は採用できない。
よって,民訴法四〇一条,九五条,八九条,九三条に従い,裁判官全員の一致で,主文のとおり判決する。
最高裁裁判長裁判官入江俊郎,裁判官長部謹吾,同松田二郎,同岩田誠,同大隅健一郎

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