最判昭和33年10月14日民集12巻14号3111頁

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最判昭和33年10月14日民集12巻14号3111頁

被相続人の不動産の譲渡と民法第177条の第三者

       主   文

本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。

       理   由

上告人等代理人景山収の上告理由第一項について。
上告人甲が本件家屋を占有していることについては,同上告人において昭和二七年一〇月一八日の一審口頭弁論期日にこれを自白し,原審で右自白の撤回を主張し,同年同月右家屋から退去したと述べたのであるが,原審は,同上告人の同年夏頃まで右家屋に居住しその後他に転居した旨の供述を排斥し,他に前記自白が真実に反し錯誤に出たものと認めるべき証拠がないと判示し,自白の撤回は許されないとしたのである。従って,その後原審口頭弁論終結時までに右家屋から退去しその占有を失ったことを同上告人の主張しない本件においては,右自白に基いて爾余の判断をなした原判決に所論の違法はない。
同第二項について。
本件土地の元所有者亡乙が本件土地を丙に贈与しても,その旨の登記手続をしない間は完全に排他性ある権利変動を生ぜず,乙も完全な無権利者とはならないのであるから,右乙と法律上同一の地位にあるものといえる相続人丁から本件土地を買い受けその旨の登記を得た被上告人は,民法一七七条にいわゆる第三者に該当するものというべく(大正一四年(オ)三四七号,同一五年二月一日大審院民事聯合部判決,民事判例集五巻四四頁参照),前記丙から更に本件土地の贈与を受けた上告人甲はその登記がない以上所有権取得を被上告人に対抗できないとした原審の判断は正当であり,所論はこれと反対の立場に立って右の判断を攻撃するもので,採用できない。なお引用の判例はいずれも本件に適切でない。
同第三項について。
被上告人が上告人甲の本件土地の所有権取得を承認し,その登記欠缺を主張する権利を放棄したとの主張については,原審は,挙示の証拠により判示の事実が認められるだけであり,右認定に反し上告人らの主張にそう供述は採用し難く,他に右主張を認めるに足る証拠がないと判示したのであるが,原審の右事実認定及び証拠の取捨判断は首肯することができ,この点に所論の違法は認められないから,所論は採用できない。
よって,民訴四〇一条,九五条,八九条に従い,裁判官全員の一致で,主文のとおり判決する。
最高裁裁判長裁判官河村又介,裁判官島保,同垂水克己,同石坂修一

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