最判平成5年1月21日裁判集民事167号上331頁

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最判平成5年1月21日裁判集民事167号上331頁

無権代理人が本人を共同相続した場合における無権代理行為の効力

       主   文

本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

       理   由

上告代理人野口敬二郎の上告理由第一点の一について
無権代理人が本人を他の相続人と共に共同相続した場合において,無権代理行為を追認する権利は,その性質上相続人全員に不可分的に帰属するところ,無権代理行為の追認は,本人に対して効力を生じていなかった法律行為を本人に対する関係において有効なものにするという効果を生じさせるものであるから,共同相続人全員が共同してこれを行使しない限り,無権代理行為が有効となるものではないと解すべきである。そうすると,他の共同相続人全員が無権代理行為の追認をしている場合に無権代理人が追認を拒絶することは信義則上許されないとしても,他の共同相続人全員の追認がない限り,無権代理行為は,無権代理人の相続分に相当する部分においても,当然に有効となるものではない。
以上と同旨の見地に立って,被上告人Xが無権代理人としてした本件譲渡担保設定行為の本人であるYが死亡し,被上告人Xが他の共同相続人と共にYの相続人となったとしても,右無権代理行為が当然に有効になるものではないとした原審の判断は,正当として是認できる。所論引用の判例は事案を異にし,本件に適切でない。論旨は採用できない。
その余の上告理由について
所論の点に関する原審の認定判断は,原判決挙示の証拠関係に照らし,正当として是認することができ,その過程に所論の違法はない。論旨は,原審の専権に属する証拠の取捨判断,事実の認定を非難するか,又は原審の認定に沿わない事実に基づいて原判決を論難するものにすぎず,採用できない。
よって,民訴法四〇一条,九五条,八九条に従い,裁判官三好達の反対意見(略)があるほか,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

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