最判昭和48年7月3日民集27巻7号751頁

相続コラム(目次)
特別受益・寄与分の裁判例(目次)
相続に関する主要な最高裁判例(目次)
事業承継のコラム(目次)
相続税法(目次)

最判昭和48年7月3日民集27巻7号751頁

民法117条と無権代理人を相続した本人の責任

       主   文

本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。

       理   由

上告代理人君野駿平の上告理由第一点について。
所論の点に関する原審の認定判断は,原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)挙示の証拠に照らし首肯するに足り,原判決に所論の違法はない。論旨は採用できない。
同第二点について。
民法一一七条による無権代理人の債務が相続の対象となることは明らかであって,このことは本人が無権代理人を相続した場合でも異ならないから,本人は相続により無権代理人の右債務を承継するのであり,本人として無権代理行為の追認を拒絶できる地位にあったからといって右債務を免れることはできないと解すべきである。まして,無権代理人を相続した共同相続人のうちの一人が本人であるからといって,本人以外の相続人が無権代理人の債務を相続しないとか債務を免れうると解すべき理由はない。
してみると,これと同旨の原審の判断は正当として首肯することができる(原判示のいう損害賠償債務,責任は履行債務,責任を含む趣旨であることが明らかである。)。
なお,所論引用の判例(最高裁昭和三五年(オ)第三号同三七年四月二〇日判決・民集一六巻四号九五五頁)は,本人が無権代理人を相続した場合,無権代理行為が当然に有効となるものではない旨判示したにとどまり,無権代理人が民法一一七条により相手方に債務を負担している場合における無権代理人を相続した本人の責任に触れるものではないから,前記判示は右判例と抵触するものではない。
論旨は採用できない。
よつて,民訴法四〇一条,九五条,八九条,九三条に従い,裁判官全員の一致で,主文のとおり判決する。
最高裁裁判長裁判官天野武一,裁判官関根小郷,同坂本吉勝,同江里口清雄,同高辻正己

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA