最判昭和36年7月21日民集15巻7号1939頁

賃貸不動産トラブル【目次】
借地借家の最高裁判例【目次】

最判昭和36年7月21日民集15巻7号1939頁

賃借建物の無断増築が契約解除原因にあたらないとされた事例

       主   文

本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

       理   由

上告代理人平原謙吉の上告理由について。
原判決の認定によれば,右増築部分は,賃借建物の構造を変更せずしてこれに附属せしめられた一日で撤去できる程度の仮建築であって,賃借建物の利用を増加こそすれその効用を害するものではなく,しかも,本件家屋は,被上告人が昭和三年頃これを賃借した当時既に相当の年月を経た古家であって,被上告人において自ら自己の費用で理髪店向その他居住に好都合なように適宜改造して使用すべく,家主においては修理をしない約定で借受け,その当時所要の修理をして使用を始めたような経緯もあり,上告人は昭和二四年四月頃前記増築がなされていることを発見したけれども,当時においては特に抗議もしなかった,というのであるから,被上告人の所論の増築行為をもって上告人に対する背信行為に当らず,また原判決説示の理由で被上告人が右増築部分の敷地につき占有権原があるとした原判決の判断は相当である。そうすると原判決に所論の違法がなく,論旨はすべて採用できない。
よって,民訴四〇一条,九五条,八九条に従い,裁判官全員の一致で,主文のとおり判決する。
最高裁裁判長裁判官藤田八郎,裁判官池田克,同河村大助,同奥野健一,同山田作之助

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA