後遺障害逸失利益に関する平成15年12月24日大阪地裁判例

平成15年12月24日大阪地裁判例

主   文

一 被告は、原告に対し、金6841万1298円並びに内金6221万1298円及びこれに対する平成20年6月28日から支払済みまで年5分の割合による金員及び内金620万円に対する平成17年12月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
二 原告のその余の請求を棄却する。
三 訴訟費用はこれを2分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。
四 この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。

実及び理由

第一 請求
被告は、原告に対し、1億0955万8859円並びに内9955万8859円に対する平成20年6月28日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員及び内金1000万円及びこれに対する平成17年12月28日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二 事案の概要
本件は、原告の運転する足踏み式自転車(以下「原告車両」という。)と、被告の運転しかつ所有する普通乗用自動車(以下「被告車両」という。)が衝突した事故(以下「本件事故」という。)によって、原告が損害を被ったと主張し、被告に対し、民法709条及び自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)三条に基づき、損害の賠償を求める事案である。

一 争いのない事実等(証拠を掲記したもの以外は、各当事者間に争いがないか、又は弁論の全趣旨により容易に認められる。)
(1) 本件事故の発生
ア 発生日時 平成17年12月28日午前9時30分ころ
イ 発生現場 大阪市《略》(以下「本件交差点」という。)
ウ 原告車両 足踏み式自転車  運転者 原告
エ 被告車両 普通乗用自動車  運転者 被告
オ 事故態様 信号機による交通整理の行われていない本件交差点において、原告車両と被告車両が出会い頭に衝突した。

(2) 原告の傷害及び治療経過
原告は、本件事故の結果、左鎖骨遠位端骨折、右頸部挫傷、右手指挫傷、頸椎捻挫、頭部外傷Ⅱ型及び第一腰椎圧迫骨折の傷害を負い、以下のとおりの入通院治療を受けた(甲7、8、10、11。枝番号含む。以下同じ。)。
ア 入院
医療法人A病院(以下「A病院」という。)
平成17年12月28日から平成18年7月3日まで
平成19年2月5日から平成19年2月9日まで
イ 通院
(ア) B病院(以下「B病院」という。)
平成17年12月28日
(イ) A病院(実通院日数103日)
平成18年7月4日から平成19年2月4日まで
平成19年2月10日から平成19年10月1日まで

(3) 原告の後遺障害及び認定等級
原告の症状は、平成19年10月1日に固定したが、原告には、本件事故の結果後遺障害が残存した。損害保険料率算出機構は、左鎖骨骨折に伴う左肩関節の可動域につき「関節の機能に著しい障害を残すもの」として自動車損害賠償保障法施行令別表第二第10級10号に該当し、脊柱の変形傷害につき「脊柱に変形を残すもの」として同別表11級七号に該当し、これらを併合して、同別表併合九級に該当すると認定した(甲9、14)。

(4) 損害のてん補
原告は、本件事故後、その損害のてん補として、労災保険から、療養給付として708万6904円、休業給付として合計824万3681円、障害給付として479万7769円、任意保険から、9万1050円、自賠責保険から平成20年1月17日に224万円、平成20年6月27日に392万円の、各支払を受けている。

二 争点
(1) 事故態様及び過失割合
(原告の主張)
被告は、南北道路を普通乗用自動車で北から南ヘ時速20ないし30キロメートルで走行し、右足をアクセルに乗せた状態で減速しないまま本件交差点に進入しようとしたところ、東西道路を西から東に向かって本件交差点に進入してきた原告車両を右前方に認めて急制動の措置を講じたが間に合わず、被告車両の右側面前部分を原告車両の前部に衝突させた。
本件事故については、被告の徐行義務違反、前方不注視、原告の進行を確認しながら急制動措置をとらなかった注意義務違反等の著しい過失が認められることからすれば、被告は、民法709条に基づき損害賠償責任を負っている。
また、被告は、本件車両を所有し、自己のために運行のように供していたことからすれば、自賠法三条に基づき損害賠償責任を負っている。
これに対し、原告は、本件交差点に進入する際、一時停止をしていないが、原告は、これまで車等の運転免許証を取得したり教習所に通ったこともなく、本件交差点に進入する足踏み式自転車が一時停止をしているところを見かけたことがないことから、一時停止義務があると認識していなかった。このような事情に鑑みれば、原告の1時一時停止義務違反を過大に評価することは相当ではない。
以上によれば、被告には著しい過失が認められるのであり、本件事故の発生については、専ら被告の過失によるものと
いうべきである。

(被告の主張)
被告は、十分に前方を注視して徐行しつつ優先道路を走行していたところ、一旦停止義務に違反して減速することなく、見通しの悪い本件交差点に原告車両が進入し、停止した被告車両の右側面に衝突した。
以上の事故態様によれば、被告には過失は認められないというべきである。

(2) 原告に残存する後遺障害の程度
(原告の主張)
本件事故を原因として原告に残存する左手指のしびれ、腰痛、右大腿部のしびれ等の後遺障害によって、原告は、歯科医師としての可動が一切不可能となり、かつ日常生活上にも様々な支障が生じている。したがって、原告の労働能力喪失率は、少なくとも70パーセントが認められるべきであり、67歳までの労働能力喪失期間が認められるべきである。

(被告の主張)
原告の後遺障害のうち、原告の行動に影響を与えるものは、左関節の可動域の制限及び脊柱の変形にとどまっており、左手指のしびれ、腰痛、右大腿部のしびれ等は運動に何らの影響を与えるものではない。また、原告は右利きであり、利き手である右手を用いて着座した状態での作業も十分可能であることからすれば、仮に左手や腰に何らかの支障があって作業に制限が加わるとしても、歯科医師としての可動が一切不可能となったとはいえない。
以上によれば、原告の労働能力喪失率は35パーセントを上回ることはなく、労働能力喪失期間も相当程度に限定すべきである。

(3) 損害論
(原告の主張)
原告は、本件事故の結果、以下の損害を被った。
ア 積極損害  合計 746万8554円
(ア) 治療費・文書料 713万7854円
原告は、事故日から症状固定日までの間、A病院及びB病院に対し、治療費、文書料及び薬剤費として合計713万7854円を出捐した。

(イ) 交通費     4万1200円
片道200円×二×103日

(ウ) 入院雑費   28万9500円
原告は、193日間の入院を余儀なくされた。よって、入院雑費は、28万9500円が認められるべきである。
(計算式)
1500円×193日=28万9500円

イ 消極損害  合計9550万3170円
(ア) 休業損害 1432万2378円
原告は、本件事故当時歯科医として勤務し、平成17年には毎月66万円の収入を得ていた。したがって、原告の日額の収入は2万1698円(=66万円×12÷365日。小数点以下切り捨て。以下同じ。)であるところ、原告は、事故日から平成18年3月31日までにわたって休業を余儀なくされた。また、原告は、平成18年3月31日をもって、勤務していた歯科医院を退職せざるを得ず、平成18年4月1日から、症状固定日である平成19年10月19日までについても、休業損害が発生したというべきである。
よって、原告の休業損害額は、1434万2378円が相当である。
(計算式)
2万1698円×661日=1434万2378円

(イ) 後遺障害逸失利益 8118万0792円
本件事故当時の原告の年収は、792万円であるところ、原告は、本件事故による後遺障害によって70パーセントの労働能力を喪失した。また、原告の症状が固定した当時の原告の年齢が40歳であることからすれば、労働能力喪失期間は27年間とされるべきである。
よって、原告の後遺障害逸失利益は、8118万0792円が相当である。
(計算式)
792万円×0・7×14・6430(27年間のライプニッツ係数)=8118万0792円

ウ 慰謝料   合計1120万0000円
(ア) 入通院慰謝料 370万0000円
本件事故の結果、原告は193日間の入院治療及び実通院日数91日の通院を余儀なくされた。よって、原告の入通院慰謝料は370万円が相当である。

(イ) 後遺障害慰謝料 750万0000円
原告に残存する後遺障害や法廷における被告の誠意が全く感じられない態度や証言等により再び深く傷つけられた。以上の事情に鑑みれば、原告の後遺障害慰謝料は750万円が相当である。

エ 確定遅延損害金  558万6539円
上記アないしウの合計額は、1億1419万1724円となるところ、原告は労災保険及び任意保険から合計2021万9404円の支払いを受けており、これを控除した残損害額は9397万2320円となる。
そして、原告は、自賠責保険から、平成20年1月17日に224万円の、平成20年6月27日に392万円の各支払を受けているところ、9397万2320円を元本として、本件事故日から平成20年1月17日までの間には、966万6824円の遅延損害金が発生し、平成20年1月18日から平成20年6月27日までの間には、207万9715円の遅延損害金が発生している。そして、前者の遅延損害金に、自賠責保険金224万円を充当した残額は、742万6824円となり、これに後者の遅延損害金を積算した額に392万円を充当した残額は、558万6539円となる。
よって、原告には、平成20年6月27日の段階で、9955万8859円の損害が存在する。

オ 弁護士費用 1000万0000円

(被告の主張)
ア 治療関係費
原告の治療費として、A病院及びB病院において、合計713万7854円が計上された事実は認め、その余は否認ないし争う。

イ 交通費について
不知。

ウ 入院雑費について
原告の入院日数が139日であることは認める。

エ 休業損害について
原告の本件事故当時の勤務状況、当時の給与体系は不知。
その余は否認ないし争う。
休業損害算定の対象となるのは、現実に休業した期間に限定されるべきである。また、原告が歯科医として勤務不可能な状況にあるとの主張については不知。

オ 後遺障害逸失利益について
否認ないし争う。
上記のとおり、原告の後遺障害によって歯科医としての稼働が一切不可能となったものではないことからすれば、原告の労働能力喪失率は35パーセントを上回ることはなく、労働能力喪失期間も相当程度に限定すべきである。

カ 入通院慰謝料について
否認ないし争う。高額に過ぎる。

キ 後遺障害慰謝料について
否認ないし争う。
原告に生じた後遺障害は併合9級には該当しない。

ク 既払金と遅延損害金について
労災保険、任意保険及び自賠責保険から、原告が主張する支払がなされた事実は認め、その余は否認ないし争う。

ケ 弁護士費用
否認ないし争う。高額に過ぎる。

第三 争点に対する判断
一 争点(1)(事故態様及び過失割合)について

(1) 《証拠略》によれば、以下の事実が認められる。
ア 本件交差点は、南北方向の道路と東西方向の道路が交差する、信号機による交通整理の行われていない交差点である。南北方向の道路は、本件交差点北側手前までは対向一車線によって構成され、本件交差点を越えた南側道路は、南方向への一方通行規制がなされている。東西方向の道路は、西から本件交差点に向かう道路は一方通行規制がなされており、本件交差点西詰に一時停止規制がなされている。南北道路北側及び東西道路西側から本件交差点左右方向の見通しは不良であるが、南北道路北側10メートル程度の位置からは、東西道路西側の一時停止線付近は見通せる状況である。

イ 原告は、原告車両に乗って、本件交差点に向かい、西から時速10ないし15キロメートルの速度で走行していた。原告は、本件交差点手前で減速したが、本件交差点西詰において一時停止することなく、本件交差点に進入した。
被告車両は、時速20から30キロメートルの速度で走行し、本件交差点に進入する際にも、アクセルに足をかけている状態で、特にブレーキを踏むことなく、かつ、左右方向からの進入者ないし進入車両に注意を払うことなく進行した。

ウ 被告は、本件交差点に進入する直前に原告車両の存在に気づき、ブレーキをかけた。原告は、本件交差点西詰停止線あたりにおいて被告車両の存在に気づき、急ブレーキをかけたものの被告車両を回避し得ず、原告車両は、被告車両の右前タイヤ上のフェンダー部分に衝突し、原告車両の前輪が被告車両進行方向と同じ方向に払われ、原告は、被告車両のフロントウィンドウと前方ピラーに左肩を強打し、地面に打ち付けられた。

エ 被告は、本件事故により、業務上過失傷害の罪で略式起訴された。

(2) 原告は、被告車両の走行速度は20ないし25キロメートルよりも速かった旨供述し、甲第41号証には、被告車両の速度が時速49・5キロメートルであった可能性があり、被告車両が急制動をとっていない可能性が高い旨の記載がある。
しかし、原告本人尋問の結果によれば、原告の上記供述は、感覚に基づくものであり、客観的な裏付けに乏しく、甲第41号証の記載も、原告の記憶を前提とした事実に基づくものであることからすれば、これをそのまま採用することは困難であり、他に、上記(1)認定の事実を覆すに足りる証拠はない。
また、原告は、自転車に一時停止規制が及ぶことを認識していなかった旨主張するが、道路交通法の規制が軽車両たる足踏み式自転車にも及ぶことは明らかであり、原告の主張を採用することはできない。

(3) 被告は、十分に前方を注視して徐行しつつ優先道路を走行していた旨主張し、乙第三号証及び被告本人尋問中には、これに沿う部分がある。しかし、被告本人尋問における供述は、略式起訴されているにもかかわらず、これを否定するなど、事故の不利益な部分に関する供述をことさら避けようとし、捜査段階における供述とも食い違う部分があるなど、採用することが困難である。

(4) 以上によれば、本件事故は、一時停止することなく交差点に進入した足踏み式自転車と、左右から交差点に進入してくる歩行者ないし車両に対する注意が不十分であった普通乗用自動車が衝突した事故ということができることからすれば、本件事故の発生につき、原告には30パーセントの、被告には70パーセントの過失が認められるというべきである。

二 争点(2)(原告に残存する後遺障害の程度)について
(1) 原告は、本件事故の結果、後遺障害が残存し、70パーセントの労働能力が喪失した旨主張するところ、《証拠略》に上記認定の事実を併せれば、以下の事実が認められる。
ア 原告は、本件事故前、歯科医として、C歯科医院に勤務していた。

イ 原告は、本件事故の結果、左鎖骨遠位端骨折、右頸部挫傷、右手指挫傷、頸椎捻挫、頭部外傷Ⅱ型及び第一腰椎圧迫骨折の傷害を負い、入通院治療を受けた後、19年10月1日に症状固定診断を受けた。症状固定時の原告の年齢は、40歳であった。

ウ 原告には、左肩鎖骨骨折に伴い、左肩関節の可動域が右肩関節可動域角度の二分の一以下に制限され、左肩痛及び左手のしびれが残存している。また、第一腰椎圧迫骨折の結果、脊柱に変形障害が残存し、右臀部上部に歩行困難になるほどの激しい腰痛が、1日に2、3回の頻度で生ずるようになった。

エ 上記後遺障害のうち、左手のしびれ等が原因となって、原告は、削った歯に装着する金属製の補綴物の調整や研磨を適切な時間内に終わらせることが困難となり、口腔内において補綴物除去を含む歯牙の切削及び抜歯等の処置の間、患歯周辺の術野明示を保持することが困難となった。
また、左肩の可動域制限及び左肩痛が原因となって、左手指による患歯の固定が行えず、患歯部分から挺子先端部の滑落が容易に出現するようになり、抜歯の際における口腔内部の殺傷等偶発証のリスクが極めて高くなった。
さらに、上記後遺障害が原因となり、浸潤麻酔の刺入点の明示が特に臼歯部において困難となった。また、伝達麻酔における刺入点の明示も困難となり、麻酔針による下顎神経(下歯槽神経)の誤刺により麻痺を呈するリスクが高くなっている。
歯の切削の際には、舌等の軟組織への深い殺傷により、患者に致命的な損傷を与える可能性もあり、切削治療は不可能となった。
そのほか、小児の治療において、場合によって必要となる、患者の身体や頭部を拘束した上での治療の実施等も困難となった。

オ 以上のような状況のため、原告は、勤務先のC歯科医院を退職し、今後も、歯科医として稼働することが不可能となった。

カ そのほか、左肩関節の可動域制限、左肩痛、左手のしびれ及び右臀部上部の激しい腰痛によって、日常生活においても、種々の制約が生じている。

(2) 以上によれば、原告は、本件事故が原因となって残存した後遺障害の結果、今後、歯科医として稼働する可能性を閉ざされたというべきである。このような原告の後遺障害が原告の労働能力に与える影響は、極めて大きいというべきであるが、原告の主張も勘案し、原告の労働能力喪失率は70パーセントとし、労働能力喪失期間は、27年間とするのが相当である。

(3) なお、被告は、原告の労働能力喪失率は、35パーセントを上回ることはなく、労働能力喪失期間も相当程度に限定すべきである旨主張するが、被告の主張を裏付けるに足りる証拠はなく、上記認定に照らしても、被告の主張には、理由がないというべきである。

三 争点(3)(損害論)について
(1) 治療費・文書料について 713万7854円
《証拠略》によれば、原告は、本件事故の結果、本件事故発生日から症状固定日までの治療費として、713万7854円の損害を被った事実が認められる。

(2) 交通費について 4万1200円
弁論の全趣旨によれば、本件事故の結果、原告には、交通費として、4万1200円の損害を被った事実が認められる。

(3) 入院雑費について 28万9500円
本件事故の結果、原告は、193日間の入院治療を余儀なくされた事実については当事者間に争いはない。よって、原告には、入院雑費として、28万9500円の損害が発生しているというベきである。
(計算式)
1500円×193日=28万9500円

(4) 休業損害について 1395万1814円
《証拠略》を併せれば、以下の事実が認められる。
ア 原告は、本件事故前、C歯科医院において歯科医として勤務し、792万円の収入を得ていた事実が認められ、これを日額に計算し直すと、2万1698円となる。

イ 原告は、本件事故日から平成18年3月31日までの間、C歯科医院を休業し、その後、歯科医として勤務することが困難となったため、退職した。
以上認定の事実に、上記認定のとおり、原告の症状固定日が19年10月1日であることが認められることからすれば、本件事故日から平成19年10月1日までの、643日間にわたる休業損害が、本件事故と相当因果関係が認められる損害として算定されるべきである。
よって、原告の休業損害は、1395万1814円が相当である。
(計算式)
2万1698円×643日=1395万1814円

(5) 後遺障害逸失利益 8118万0792円
上記認定のとおり、原告は、本件事故前、年収にして792万円の収入を得ており、原告に残存する後遺障害については、労働能力喪失率を70パーセント、労働能力喪失期間を27年間とするのが相当であることからすれば、原告の後遺障害逸失利益は8118万0792円が相当である。
(計算式)
792万円×70パーセント×14・6430(27年間に相当するライプニッツ係数)=8118万0792円

(6) 入通院慰謝料について 300万0000円
上記認定のとおり、原告は、本件事故の結果、191日間の入院治療及び実通院日数91日間の通院治療を余儀なくされているところ、本件事故によって原告が負った傷害内容等に鑑みれば、原告の入通院慰謝料は、300万円が相当である。

(7) 後遺障害慰謝料について 700万0000円
上記認定の、原告に残存する後遺障害の内容に鑑みれば、原告の後遺障害慰謝料は、700万円が相当である。

四 過失相殺、既払金の填補及び確定遅延損害金について
(1) 上記認定のとおり、本件事故については、原告にも30パーセントの過失が認められることからすれば、原告の損害については過失相殺を行うことが相当である。また、上記認定のとおり、原告は、労災保険から本件事故による損害の填補として、療養給付、休業給付及び障害給付の支払を受けている事実が認められるが、療養給付については治療費、休業給付及び療養給付については、消極損害に充当されるべきであることからすれば、過失相殺は、それぞれの費目において計算されるべきである。
そうすると、過失相殺後の各損害額は、以下のとおりとなる。
ア 治療費・文書料について 499万6498円

イ 交通費について   2万8840円

ウ 入院雑費について 20万2650円

エ 消極損害について 6659万2824円

オ 慰謝料について 700万0000円

(2) 労災保険金の填補について
上記のとおり、原告は、本件事故の結果、労災保険金から療養給付として708万6904円、休業給付として合計824万3681円及び障害給付として479万7769円の支払を受けている事実が認められる。そして、療養給付については治療費、休業給付及び療養給付については、消極損害に充当されるべきであり、これらの充当を行った後の原告の全損害額は、以下のとおりとなる。
ア 治療費・文書料について    0円
療養給付が、過失相殺後の治療費・文書料を超えていることは明らかである。

イ 交通費について   2万8840円

ウ 入院雑費について 20万2650円

エ 消極損害について 5355万1374円
原告が受領した、休業給付及び障害給付の合計額は、1304万1450円となるところ、これを過失相殺後の消極損害額である6659万2824円に充当した残額は、5355万1374円である。

オ 慰謝料について 700万0000円

カ 合計額    6078万2864円

(3) 任意保険金の填補について
上記認定のとおり、原告は、任意保険金から、合計9万1050円の支払いを受けていることからすれば、任意保険金充当後の残損害額は、6069万1814円となる。

(4) 自賠責保険金の支払い及び確定遅延損害金について
上記認定のとおり、原告は、自賠責保険から、平成20年1月17日に224万円の、平成20年6月27日に392万円の各保険金の支払いを受けている事実が認められる。そして、上記残損害額6069万1814円を元本とすると、本件事故日から平成20年1月17日までの751日間の確定遅延損害金は、624万3774円(小数点以下切り捨て。以下同じ。)となるところ、この確定遅延損害金から平成20年1月17日に支払われた自賠責保険金224万円を控除した残額は、400万3774円となる。また、6069万1814円と400万3774円を積算すると、6469万5588円となるところ、これを元本とする平成20年1月18日から平成20年6年27日までの確定遅延損害金は、143万5710円であり、これと6469万5588円を積算した残損害額は、6613万1298円であり、これから平成20年6月27日に支払われた自賠責保険金392万円を控除すると、残額は、6221万1298円となる。

(5) 弁護士費用について
以上によれば、原告の弁護士費用に相当する損害は、620万円が相当である。

五 まとめ
したがって、原告の総損害額は、6841万1298円となる。

六 よって、原告の請求は、6841万1298円並びに6221万1298円に対する最終の自賠責保険金支払日の翌日である平成20年6月28日から民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払及び620万円及びこれに対する不法行為の日である平成17年12月28日から民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める範囲で理由があるからこれを認容し、その余の請求については理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。

弁護士のご紹介

弁護士紹介

弁護士・舛本行広は、スタッフと一丸となって最善の解決を目指します。

詳しくはこちら

事務所のご案内

事務所案内

岩国の皆さまとともに歩んできた、地元に根ざした法律事務所です。

詳しくはこちら

弁護士費用

費用バナー

費用は柔軟に対応いたします。ご遠慮なくご相談ください。

詳しくはこちら

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA