労働法務週報(10月19日)

労働法務週報(10月12日~19日)
今週は、労働者側実務に影響するものとして、重要な中労委命令が1件、将来の制度改正につながる審議が2点あります。
1.大量の懲戒歴を根拠とした継続雇用拒否を不当労働行為と認定
- 何が変わったか
中労委は10月13日、明泉学園事件で、組合員3名の定年後継続雇用を拒否した行為を、不利益取扱い・支配介入と認定しました。法人が理由とした計546件の懲戒処分等のうち、合理性が認められたのは5件にとどまり、多数の不合理な処分自体が組合員嫌悪を裏付けると判断されています。mhlw.go.jp - 実務上なぜ重要か
継続雇用拒否事件では、個々の懲戒処分への反論だけでなく、処分の件数・時期・他の労働者との比較から「処分歴が後付けで形成されたこと」を立証する戦略が有効です。
救済については、職場復帰を命じず一定期間の賃金相当額を認め、しかも中間収入を控除しませんでした。地位確認訴訟とは異なる労委救済の柔軟性が示されており、組合関係がある定年・雇止め事件では、訴訟と労委申立ての選択・併用を検討する価値があります。 - 確認すべき一次資料
中労委・明泉学園不当労働行為再審査事件(命令概要PDF)
2.勤務間インターバル・「つながらない権利」・労働時間把握が具体的な検討段階へ
- 何が変わったか
10月14日の労働条件分科会で、勤務間インターバルの法的位置付け、時間外連絡に関する企業ルール、労働時間把握義務の強化が具体的論点として提示されました。労働者側は11時間のインターバル義務化や、現行の労働時間把握ガイドラインを罰則付き法令へ格上げすることを主張していますが、現時点では改正決定ではありません。mhlw.go.jp - 実務上なぜ重要か
現行事件の判断基準が変わったわけではありません。ただし、時間外のメール・チャット・電話履歴は、残業時間だけでなく、休息不足や安全配慮義務違反を立証する資料として重要性が増します。受任時にログの保存期間を確認し、早期にスクリーンショット・データ出力を確保すべきです。 - 確認すべき一次資料
検討論点(PDF)
詳細資料(PDF)
3.会社分割時の通知・異議申出の電子化を検討
- 何が変わったか
労働契約承継法上の通知等について、過半数組合等との協議で通知方法を定め、労働者が別の方法を希望した場合はその方法による、という電子化案が示されました。まだ制度改正前です。mhlw.go.jp - 実務上なぜ重要か
電子化されれば、通知の到達時期、添付ファイルの内容、閲覧可能性が、異議申出期間や手続違反の重要な争点になります。会社分割案件では、メール本体だけでなく送受信ログ・添付ファイル・閲覧履歴を確保する必要があります。 - 確認すべき一次資料
労働契約承継法上の通知等の電子化・検討資料(PDF)