労働法務週報(10月12日)

労働法務週報(10月5日~12日)
今週の重要な動きは、10月9日に諮問された労災保険関係の政省令案です。いずれも未公布であり、施行時には確定条文・経過措置の再確認が必要です。mhlw.go.jp
1.請求時効を5年とする疾病が具体化
- 何が変わったか
2027年4月1日から療養・休業・葬祭・介護給付等の時効を2年から5年に延長する対象として、脳・心臓疾患、精神障害、石綿による中皮腫・肺がん・びまん性胸膜肥厚等が政省令案に明記されました。労基法上の災害補償請求権も同様です。mhlw.go.jp - 実務上なぜ重要か
これまで「2年経過」として受任を見送っていた過労死・精神障害・石綿事件でも再検討余地が生じます。ただし旧件が一律に復活するわけではないため、発症・診断日、各給付の支払期、施行時の経過規定を個別に確認すべきです。 - 確認すべき一次資料
厚労省・関係政省令改正の概要(PDF)
2.遅発性職業病の給付基礎日額を引き上げる特例
- 何が変わったか
石綿疾患など、離職後または有害業務離職から20年以上経過して発症した疾病について、診断時に別の勤務先で雇用されていれば、「発症時の平均賃金」と「ばく露時賃金を現在価値に補正した額」の高い方を給付基礎日額とする省令案が示されました。過去の賃金額が不明な場合は、同種労働者の賃金等による推算も認める設計です。mhlw.go.jp - 実務上なぜ重要か
休業・障害・遺族給付額に直接影響します。受任時から、診断時勤務先の賃金資料と、最後の有害業務従事先・離職時期・当時の賃金資料を併行して確保する必要があります。部会資料では施行前発症者に遡及しない方向が示されており、既受給者の増額を前提とした和解判断は避けるべきです。mhlw.go.jp - 確認すべき一次資料
省令案要綱(PDF)
制度改正・遡及適用に関する部会資料(PDF)
3.社会復帰促進等事業の不服申立ルートを統一
- 何が変わったか
2027年4月1日から、義肢等補装具、アフターケア、特別支給金、就学援護費などに関する決定への不服申立てを、行政不服審査法ルートから労働保険審査官・労働保険審査会ルートへ移すことが具体化しました。mhlw.go.jp - 実務上なぜ重要か
審査請求先と手続選択が変わります。施行日前後の処分については、処分日、対象制度、経過措置を確認して申立先を誤らないことが重要です。 - 確認すべき一次資料
厚労省・関係政省令改正の概要(PDF)
今週、公表資料上、新たに掲載された重要な労働裁判例・中労委命令は確認できませんでした。裁判所裁判例検索/中労委・令和8年命令一覧 裁判所