労働法務週報(11月2日)

今週は確定した法改正・新規重要裁判例はありませんが、労基法・育介法改正につながり得る重要な審議が3点あります。
1.法定休日の特定義務と「13日超」の連続勤務禁止を検討【未改正】
– 何が変わったか
10月30日の労働条件分科会で、①法定休日の事前特定と変更ルール、②13日を超える連続勤務の禁止、③例外時の代償休日・健康確保措置が具体的論点になりました。現行の4週4休制では制度上最大48日間の連続勤務が可能です。mhlw.go.jp
– 実務上なぜ重要か
現行事件に13日上限が直接適用されるわけではありません。ただし、精神障害の労災認定では「2週間以上の連続勤務」が既に心理的負荷の評価対象です。過労・休職・安全配慮義務事件では、単月の残業時間だけでなく、勤務表、休日振替通知、休日中の連絡・呼出しを日単位で整理すべきです。
– 確認すべき一次資料
検討論点(厚生労働省PDF)
詳細資料(厚生労働省PDF)
2.副業・兼業時の割増賃金に関する労働時間通算を見直しへ【要注視】
– 何が変わったか
同分科会で、複数の使用者の下で働く場合の「割増賃金計算上の労働時間通算」の存廃が正式な検討事項になりました。労働者側は、通算廃止は賃金・長時間労働抑制の双方で不利益になるとして反対しています。現行の通算ルールはまだ有効です。mhlw.go.jp
– 実務上なぜ重要か
副業者の残業代請求では、各社の雇用契約締結日、所定・所定外労働時間、他社勤務の申告内容、各使用者の認識を確保します。制度改正前の期間について、将来の見直し論を理由に現行の通算請求を後退させる必要はありません。
– 確認すべき一次資料
法定休日・連続勤務規制・副業兼業に関する詳細資料(厚生労働省PDF)
3.子の看護等休暇・介護休暇の「中抜け」を原則可能とする案【未改正】
– 何が変わったか
10月26日の雇用環境・均等分科会で、子の看護等休暇・介護休暇について勤務途中の中抜けを原則可能とする案が示されました。併せて、障害児・医療的ケア児・不登校児の親への支援や、深夜業免除に関する同居家族の年齢要件を16歳から18歳へ引き上げる案も検討されています。mhlw.go.jp
– 実務上なぜ重要か
休暇申出拒否・育児介護を理由とする不利益取扱い事件では、申出の日時・方法、中抜けの必要性、会社の回答、時間単位取得や中抜けを除外する労使協定の有無を確認します。現時点では、あくまで現行法と会社規程に基づく判断です。
– 確認すべき一次資料
仕事と育児の両立支援に関する検討項目(厚生労働省PDF)
中央労働委員会では、前号掲載の明泉学園事件後に新たな重要命令の公表はありません。裁判所公表分でも、今週掲載された最高裁判決に労働事件は確認できませんでした。mhlw.go.jp