労働法務週報(9月28日)
労働法務週報(9月28日)
今週は、新規判例よりも、10月1日施行の非正規雇用・ハラスメント関係改正が重要です。
1.カスハラ・求職者へのセクハラ対策が義務化
- 何が変わったか
10月1日から、使用者にカスタマーハラスメント防止措置が義務付けられます。方針の明確化、相談窓口、事実確認、被害者への配慮、再発防止、悪質事案への対応体制などが必要です。求職者・インターン・実習生に対するセクハラについても同様に措置義務が生じます。mhlw.go.jp - 実務上なぜ重要か
顧客・施設利用者等からの暴言や執拗な要求について、従来の安全配慮義務だけでなく、具体的な法定措置義務違反を主張できます。相談後に一人で対応させ続けた、事実確認をしなかった、配置転換・解雇などの不利益取扱いをした事案では、労働局への申告と損害賠償請求を組み合わせやすくなります。求職者セクハラは雇用契約成立前の被害でも行政上の救済対象になります。 - 確認すべき一次資料
厚労省「令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます」、改正法等の運用通達(雇均発0424第2号)
2.パート・有期労働者の待遇差立証がしやすくなる
- 何が変わったか
雇入れ・更新時の明示事項に、正社員との待遇差の内容・理由について説明を求められる旨が追加されます。説明は、資料を使った口頭説明または必要事項を記載した資料の交付によることが原則化されます。ガイドラインも改正され、賞与・退職金、家族手当、住宅手当、病気休暇、夏季冬季休暇等の判断基準が具体化されます。mhlw.go.jp - 実務上なぜ重要か
受任直後に、比較対象正社員、各待遇の目的、決定基準、職務・配置変更範囲の相違について、法14条2項に基づく説明を文書で求めるべきです。回答や説明資料を、その後のパート・有期法8条・9条請求の主張立証に利用できます。特に「正社員の人材確保・定着」という抽象的説明だけでは直ちに合理化されないことが明示されました。 - 確認すべき一次資料
厚労省「パートタイム・有期雇用労働法施行規則/雇用管理指針の主な改正事項」
3.派遣労働者の待遇説明・労使協定方式を厳格化
- 何が変わったか
派遣時等に、待遇差の説明を求められる旨の明示が追加されます。協定方式でも、協定不遵守、公正な評価の不存在、過半数代表者の不適正選出がある場合には、派遣法30条の3の均等・均衡待遇が求められることが明確化されました。賃金引下げには原則として労働者の合意が必要との整理も示されています。mhlw.go.jp - 実務上なぜ重要か
派遣労働者事件では、労使協定の有無だけで終わらず、①協定本文と周知状況、②過半数代表者の選出過程、③一般賃金水準、④本人への評価・賃金決定過程まで開示を求める必要があります。協定方式が崩れれば、派遣先通常労働者との待遇比較に移行できる可能性があります。 - 確認すべき一次資料
厚労省「労働者派遣法施行規則/派遣元指針/派遣先指針の主な改正事項」、派遣労働者向け改正案内
なお、9月21日以降に公表された裁判例・労働委員会命令には、今週取り上げるべき重要度の新規案件は確認できませんでした。