第7講 子の看護等休暇の実務

第7講 子の看護等休暇の実務

――病気・けが・学級閉鎖・行事参加まで広がる休暇管理

子の看護等休暇は、子を養育する労働者が、子の病気やけがへの対応、予防接種、健康診断などのために取得できる休暇制度です。育児休業が一定期間まとまって仕事を休む制度であるのに対し、子の看護等休暇は、日常的に発生する突発的な育児対応のための制度といえます。企業実務では、育児休業ほど大きな制度として意識されにくい一方で、現場では頻繁に問題となりやすい制度です。

特に注意すべきなのは、子の看護等休暇の対象となる場面が広がっていることです。従来のように、子の病気やけが、予防接種、健康診断だけを想定していると、現在の制度理解として不十分になる場合があります。法改正により、感染症に伴う学級閉鎖等や、入園式・卒園式など一定の行事参加も対象に含まれる方向で整理されています。そのため、会社の規程が「病気・けがの看護」に限定した古い文言のままになっている場合には、見直しが必要です。

子の看護等休暇は、対象となる子を養育する労働者が、一定の日数を限度として取得できます。子が1人の場合と2人以上の場合で取得可能日数が異なるため、会社としては対象となる子の人数を確認する必要があります。また、1日単位だけでなく、時間単位での取得にも対応する必要があります。たとえば、朝に子を病院へ連れて行ってから出勤する、学校から急な呼び出しがあり午後だけ休む、といった利用が想定されます。

実務上、トラブルになりやすいのは、急な申出への対応です。子どもの発熱やけがは予測できないため、当日の朝や勤務中に申出があることも珍しくありません。この場合、会社側が「急に言われても困る」「代わりがいない」「何度も休まれると迷惑だ」と感情的に対応すると、制度利用を妨げる言動として問題になり得ます。もちろん、会社として業務調整が必要であることは事実ですが、まずは制度上の休暇として受け止め、そのうえで代替対応を検討する必要があります。

また、子の看護等休暇を取得したことを理由に、不利益な取扱いをすることも問題です。欠勤扱いとして評価を下げる、賞与査定で一方的に不利に扱う、休暇取得が多いことを理由に配置転換や雇止めを検討する、といった対応は慎重でなければなりません。制度上の休暇として取得している以上、通常の無断欠勤や私的な欠勤と同じように扱うことはできません。

もっとも、子の看護等休暇については、有給か無給かを法律が一律に定めているわけではありません。会社の就業規則や育児介護休業規程において、有給とするのか無給とするのか、賃金控除の方法をどうするのかを明確にしておく必要があります。規程が曖昧なまま運用していると、従業員ごとに扱いが異なり、不公平感や賃金トラブルにつながるおそれがあります。

さらに、労使協定により、一定の労働者を子の看護等休暇の対象外とできる場合があります。ただし、対象外にできる範囲には限界があり、会社が独自に「繁忙部署の従業員は対象外」「パートは対象外」と決められるわけではありません。労使協定の有無、対象外とする労働者の範囲、就業規則との整合性を確認しておくことが必要です。

子の看護等休暇は、短時間・突発的に利用されることが多いため、現場の上司の理解が特に重要です。制度を知らない上司が、通常の欠勤や遅刻早退と同じ感覚で処理してしまうと、後で問題になる可能性があります。会社としては、申出方法、連絡先、必要な確認事項、勤怠システム上の処理、賃金控除の有無をあらかじめ整理し、管理職にも周知しておくべきです。

子の看護等休暇は、従業員の家庭事情に対応するための制度であると同時に、子育て中の従業員を職場に定着させるための制度でもあります。急な休暇取得を完全になくすことはできません。だからこそ、事前にルールを整備し、現場で混乱しない運用を作っておくことが、企業にとってのリスク管理になります。

企業としては、育児介護休業規程、勤怠管理、賃金規程、評価制度、管理職向け対応マニュアルを点検し、子の看護等休暇が現在の法令と実務に沿った形で運用されているか確認することが重要です。制度を正しく整備し、従業員にも管理職にも分かりやすく説明できる状態を作ることが、紛争予防と働きやすい職場づくりにつながります。

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