第13講 リース物件は誰のものか|所有権と使用実態がずれる場面の処理
第13講 リース物件は誰のものか|所有権と使用実態がずれる場面の処理

法人破産の現場では、会社が日常的に使用していた機械、車両、複合機、電話設備、医療機器、厨房機器、IT機器等について、「会社のもの」と思い込んで処理を進めることが少なくない。しかし実務上は、それらの相当部分がリース契約、割賦販売契約、所有権留保付売買等の対象であり、現場に存在するからといって直ちに破産財団に属するとは限らない。したがって、物件の所在確認だけでなく、その法的帰属の確認が不可欠である。ここを誤ると、本来換価してはならない物件を処分対象に含めたり、逆に財団物件であるのに他人物として見過ごしたりする危険がある。
とりわけリース契約は、「使用している者」と「所有権者」が分離する典型であるため、契約書、注文書、物件一覧表、支払明細、管理番号、シリアルナンバー、保守契約の名義等を精査し、個別物件ごとに帰属を確認する必要がある。現場では、同一室内に会社所有の物件とリース物件とが混在していることも多く、しかも帳簿上の固定資産台帳の記載が必ずしも正確でないため、資料のみで完結せず、現物照合が重要となる。とくに複数拠点を持つ会社では、契約上の設置場所と現物の所在がずれていることもあり、返還交渉をする前提として、まず事実関係の整理自体に相応の労力を要する。
さらに、リース会社との関係では、「物件の返還」と「未払リース料等の金銭債権」とを混同しないことが大切である。物件の所有者として返還請求し得る部分と、期限の利益喪失後の残リース料相当額等の金銭債権として破産債権になる部分とは、法的性質が異なる。返還対象物が明確であるにもかかわらず、残額支払がない限り返還交渉に応じないという姿勢が示されることもあるが、その場合にも、返還と債権届出の問題を切り分けて対処する必要がある。他方で、物件返還に当たり撤去費用、搬出日程、建物管理者との調整、データ消去、附属品の欠落などが問題になることも多く、単純に「持って帰ってもらう」で済むものではない。
また、現場によっては、リース物件が会社運営の中核機能を担っており、その撤去が賃貸物件明渡しや在庫処理と連動する場合もある。そのため、リース物件の処理は、それ単独で終わる論点ではなく、賃貸借、残置物、ITデータ、従業員引継ぎ等の複数論点と交差する。管財人としては、物の帰属を確定する法的作業と、返還工程を組み立てる現場作業の両方を意識しなければならない。リース物件は、法人破産における「使っていたものは誰のものか」という基本問題を、最も実務的に突きつける論点である。