第33講 不当利得返還請求・損害賠償請求の見極め|何を法的構成するか

第33講 不当利得返還請求・損害賠償請求の見極め|何を法的構成するか

破産会社の財産流出が疑われる場面では、「怪しい」という感覚だけで終わらせてはならない。不当利得返還請求で構成するのか、損害賠償請求で構成するのか、あるいは否認権で処理すべきかを整理する必要がある。

不当利得返還請求が問題となるのは、法律上の原因なく相手方が利益を受け、会社が損失を被っている場合である。誤送金、重複払、実体のない請求への支払、対価のない送金などが典型である。この場合、相手方の故意過失を必ずしも要しないため、比較的素直な構成となりやすい。

これに対し、損害賠償請求は、違法行為や債務不履行によって会社に損害が生じた場合である。役員による任務懈怠、共謀による資産流出、帳簿廃棄などは、損害賠償の構成が問題となる。この場合は、義務違反、損害、因果関係の立証が必要となる。

実務では、同一事実から複数の法的構成が候補となることがある。しかし、「怪しいから全部主張する」という発想は避けるべきである。各構成は要件も立証対象も異なるからである。まず何が起きたかを正確に捉え、その事実に最も適した法的構成を選ぶことが重要である。

請求を立てるとは、事実に法的な名前を与える作業である。構成を誤れば、見つけた問題も回収に結び付かないのである。

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