第13講  不貞相手にも請求できるのか|配偶者以外への慰謝料請求の基本

第13講
不貞相手にも請求できるのか|配偶者以外への慰謝料請求の基本

配偶者の不貞が発覚したとき、裏切られた側としては、配偶者本人だけでなく、その相手方にも強い責任を感じるのが通常です。法的にも、一定の場合には、不貞をした配偶者だけではなく、不貞相手に対しても慰謝料請求が認められます。もっとも、誰にでも当然に請求できるわけではなく、成立にはいくつかの重要な条件があります。

大きなポイントは、不貞相手が、相手方に配偶者がいることを知っていたか、少なくとも通常知り得たのに注意を怠ったかという点です。つまり、故意または過失が必要です。たとえば、既婚者であることを隠されていた場合や、交際経過から見て既婚と分からなかった特別な事情があれば、不貞相手の責任が否定または軽減される余地があります。他方で、既婚であることを明確に認識しながら継続的に関係を持っていたのであれば、責任を問われやすくなります。

さらに重要なのは、不貞行為があった時点で、もともとの婚姻関係がすでに破綻していたかどうかです。法的には、婚姻共同生活がすでに実質的に終了していた場合には、その後の関係が婚姻を破綻させたとは評価しにくく、慰謝料請求が否定されることがあります。ここでいう「破綻」は、単に夫婦仲が悪かったという程度では足りず、長期別居や交流断絶など、客観的に婚姻の実体が失われていることが必要です。

請求額については、配偶者に対する慰謝料請求と不貞相手に対する慰謝料請求が別々に無限に積み上がるわけではありません。ひとつの不貞行為によって生じた精神的損害について、配偶者と不貞相手が共同して責任を負うという構造で理解されることが多く、全体として妥当な範囲の金額に収れんしていきます。そのため、「配偶者からも不貞相手からも満額ずつ取れる」という発想は正確ではありません。

不貞相手に対する請求は、感情的には理解しやすい一方で、婚姻関係の破綻時期、不貞相手の認識、証拠の有無など、争点が比較的はっきりしています。感情の強さだけで進めると空振りになることもあるため、請求の前に、法律上の成立可能性と回収可能性の両面を冷静に見極めることが必要です。

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