第42講  公正証書を作る意味はどこにあるのか|養育費不払いへの備え

第42講
公正証書を作る意味はどこにあるのか|養育費不払いへの備え

離婚協議書で合意内容を書面にすることは大切ですが、特に養育費や慰謝料、財産分与の分割払いが問題になる場合には、さらに一歩進めて公正証書にしておく意味があります。公正証書は、公証人が作成する公文書であり、単なる私的な合意書よりも強い法的意味を持ちます。

最大の実益は、一定の要件を満たせば、相手が支払わないときに強制執行へ進みやすくなることです。特に、金銭支払について強制執行認諾文言付きの公正証書を作成しておけば、改めて判決を取らなくても差押えの手続を取り得る場合があります。養育費のように長期にわたって継続的に支払われるものについては、不払いリスクへの備えとして大きな意味があります。

実務では、「今は関係が悪くないからそこまでしなくてもよい」と考える人もいます。しかし、離婚直後と数年後とでは状況が変わることが珍しくありません。再婚、転職、収入減少、感情的対立の再燃などをきっかけに、当初は支払うと言っていた相手が支払わなくなることもあります。公正証書は、相手の善意に依存しすぎないための制度的な備えです。

もっとも、公正証書を作れば何でも安心というわけではありません。内容が曖昧であれば、結局執行場面で問題になることがあります。そのため、金額、期限、条件を明確にし、何をどのように履行するのかを具体的に定める必要があります。また、面会交流のような非金銭的な内容については、金銭債務ほど単純に執行できるわけではない点にも注意が必要です。

公正証書は、離婚時の約束を「守られなかったときに備えて機能する形」にしておくためのものです。特に養育費のように、子どもの生活に直結する支払については、口約束や簡単な合意書で済ませず、公正証書化を検討する実益が大きいといえます。

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