第30講 詐害行為否認・無償行為否認の基礎|財産流出をどう取り戻すか

第30講 詐害行為否認・無償行為否認の基礎|財産流出をどう取り戻すか

法人が破綻に向かう過程では、特定債権者への支払にとどまらず、会社財産そのものが外部へ流出していることがある。廉価譲渡、贈与、無償の名義移転、実質的対価のない資産移転などである。こうした財産流出を財団に取り戻すための手段が、詐害行為否認及び無償行為否認である。

無償行為否認は、対価を受けないで財産を移転した場合を対象とする。典型は贈与であるが、形式上売買の形を取っていても、実際に代金支払がなければ無償行為と評価すべき場合がある。親族や関係会社への設備移転、役員個人の債務の会社負担なども問題となりうる。

詐害行為否認は、形式上は有償であっても、債権者を害する財産処分を対象とする。典型例は廉価譲渡である。本来より著しく安い価格で資産を処分したり、適正価格の体裁をとりつつ実際には代金が支払われていなかったりする場合には、財団を害する行為として問題となる。

この分野で重要なのは、契約書の有無にとらわれないことである。実務で見るべきは、対価の相当性、実際の決済、引渡しの時期、相手方との支配関係、当時の経営状態である。書面が整っていても、実質が伴わなければ否認の対象となりうる。

詐害行為否認・無償行為否認は、残存財産を分配するだけでなく、本来残っているべき財産を取り戻すための制度である。財産流出の実質を見抜くことが、財団回復の核心である。

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