第7講  証拠はどこまで必要か|LINE・録音・写真・診断書の使い方

第7講
証拠はどこまで必要か|LINE・録音・写真・診断書の使い方

離婚問題では、「本当のことを言えば分かってもらえるはずだ」と考えてしまいがちです。しかし、実際の手続では、何があったのかを裏付ける資料が極めて重要です。不貞、DV、モラハラ、生活費不払い、子どもの監護状況など、争点になりやすい事項ほど、証拠の有無が結果を左右します。

もっとも、証拠といっても、特別なものばかりではありません。日常の中で残っているLINE、メール、録音、写真、家計の記録、通帳、診断書などが、重要な意味を持つことがあります。大切なのは、「何を証明したいのか」に応じて、資料の使い方を考えることです。

たとえば、不貞を問題にする場合には、単なる親しいメッセージだけでは足りず、肉体関係を推認させる事情が求められます。ホテルの出入り写真、宿泊記録、親密なLINEの継続的やり取りなどが組み合わさることで、証拠としての力が高まります。他方で、DVやモラハラでは、録音、診断書、受診歴、相談記録、けがの写真、日々のメモなどが意味を持ちます。生活費不払いであれば、振込履歴の欠落、請求メッセージ、家計状況の記録などが有益です。

ここで注意したいのは、一つの証拠だけで決まるとは限らないということです。実務では、複数の資料を組み合わせて、全体としてどのような事実が認められるかが見られます。逆にいえば、「決定的な一枚がないから無理だ」と早合点すべきでもありません。

また、証拠収集には限界もあります。相手のスマートフォンを無断で解除して中身を取得する、GPSを違法に取り付ける、住居に無断侵入するなど、手段によっては別の法的問題を生むおそれがあります。証拠を集めるつもりが、自分の立場を悪くしてしまっては意味がありません。

さらに、証拠は早い段階で保存することが重要です。LINEは削除されることがあり、写真やメッセージ履歴も後で見られなくなることがあります。画面保存、印刷、バックアップなど、今できる形で確保しておくことが大切です。

離婚問題において、証拠は「相手を責めるための武器」である以前に、「自分の主張を現実に支える土台」です。何が争点になるのかを見極め、その争点に対応した証拠を、適法かつ冷静に整えていくことが重要です。

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