第17講 離婚調停はどのように進むのか|申立てから成立・不成立まで

第17講 離婚調停はどのように進むのか|申立てから成立・不成立まで

離婚の話合いが当事者だけではまとまらないとき、現実に次の入口になるのが家庭裁判所の離婚調停です。裁判所は、離婚について当事者間の話合いがまとまらない場合や話合いができない場合には、夫婦関係調整調停(離婚)を利用できると案内しています。調停では、離婚そのものだけでなく、子どもの親権、面会交流、養育費、財産分与、年金分割、慰謝料まで一緒に話し合うことができます。

この回で大切なのは、離婚調停は「裁判」ではなく、裁判所を使った話合いだということです。裁判所の一般説明でも、調停は勝ち負けを決める手続ではなく、当事者が合意することで解決を図る手続だとされています。つまり、最初から白黒をつける場というより、第三者を交えて条件を整理し、合意できるかを探る場です。

1 どこに申し立てるのか

離婚調停は、原則として相手方の住所地の家庭裁判所に申し立てます。もっとも、当事者が合意すれば別の家庭裁判所に申し立てることもできます。申立人になれるのは夫または妻です。

2 申立てに必要な費用と書類

裁判所の全国共通案内では、申立てに必要な費用は収入印紙1200円分と連絡用の郵便切手です。郵便切手の額は裁判所ごとに異なります。標準的な申立添付書類としては、夫婦の戸籍謄本、事情説明書、子についての事情説明書、進行に関する照会回答書などが挙げられており、年金分割の申立てを含む場合は情報通知書も必要です。

実務上は、これに加えて、養育費を話し合うなら収入資料、財産分与を話し合うなら預金・保険・不動産関係資料など、争点に応じた資料が後から求められることが多いです。福岡家裁の案内でも、養育費を話し合う場合には収入資料の提出が求められています。

3 申立てをすると、どう始まるのか

申立てが受理されると、家庭裁判所から第1回調停期日の連絡が来ます。調停は、裁判官1人と、民間から選ばれた調停委員2人以上で構成される調停委員会が進めます。裁判所の一般説明では、調停委員会が双方の事情や意見を聴き、助言やあっせんをして合意を目指すとされています。

広島家裁の説明では、第1回期日の冒頭で調停についての説明があり、その後は調停委員が公正中立な立場で双方の話を聴き、主張や争点を整理しながら話合いを進めます。通常は当事者を交互に別々に呼んで話を聴く運用です。福岡家裁の案内でも、双方の待合室は別とされています。

4 調停の日はどんな感じで進むのか

実務上、離婚調停は公開の法廷で言い争う場ではありません。広島家裁の説明では、調停は非公開で行われ、庁舎内・敷地内で録音、写真撮影、録画はできません。調停委員が双方を原則として別々に呼び、相手の言い分を整理して伝えながら、妥協点を探っていきます。

同じく広島家裁の案内では、1回の調停期日は2時間程度で、おおむね30分ずつ交互に話を聴く運用です。福岡家裁の案内では、1回100分ほどとしており、期日終了時には次回期日や次回までの準備事項を確認するとされています。運用には裁判所ごとの差がありますが、少なくとも「一日で全部終わる一発勝負」ではなく、必要に応じて数回続くのが通常です。

5 調停で何を話し合うのか

離婚調停では、単に「離婚するかどうか」だけを話すわけではありません。裁判所は、離婚そのものに加えて、子どもの親権、子との交流、養育費、財産分与、年金分割、慰謝料を一緒に話し合えると案内しています。子どもがいる事案では、裁判所サイトでも、子どものために配慮した話合いを促す動画の視聴案内が付されています。

そのため、実務では、離婚意思だけ固まっていても、条件が整理できていないと調停は長引きやすいです。逆に、争点ごとに希望条件と譲れる範囲、裏付け資料を持っていると、調停はかなり進めやすくなります。福岡家裁の案内でも、未成年の子に関する問題は子の利益や幸せを考慮した解決が求められ、場合によっては家庭裁判所が子の心情や意向を確認するとされています。

6 成立するとどうなるのか

双方が合意し、調停委員会もその内容を相当と判断すれば、調停は成立します。広島家裁の説明では、その場合、合意内容を記載した調停調書が作成されて手続が終わります。裁判所の一般説明でも、一般調停で合意が成立し、その内容が調停調書に記載されると、確定判決と同一の効力があるとされています。

離婚調停が成立したときは、その成立日が離婚の日になりますが、それだけでは戸籍に反映されません。裁判所の成立後案内では、調停成立日から10日以内に、市区町村役場へ離婚届を出す必要があるとされています。必要書類は、通常、調停調書の省略謄本です。期間内に届出をしないと、5万円以下の過料の対象になり得ます。

7 不成立になるのはどんなときか

調停は、話し合っても合意の見込みがないと判断されると、不成立で終わります。広島家裁も、合意に至る見込みがない場合には不成立で終了すると説明しています。福岡家裁の案内でも、一方が出席しない場合や、協議しても合意成立の見込みがない場合には、不成立などで終了するとされています。

離婚調停は、成立しなければ自動的に離婚が決まる手続ではありません。裁判所の一般説明では、離婚のような一般調停は、不成立となった場合、最終的な解決のためには改めて人事訴訟を提起する必要があるとされています。つまり、不成立は「離婚できない確定」ではなく、「話合いでは決着しなかったので、判断を求めるなら次は訴訟へ」という意味です。

8 調停に代わる審判が出ることもある

調停が成立しない場合でも、いつも単純に終了するとは限りません。裁判所の一般説明では、事情によっては裁判所が調停に代わる審判という形で一定の解決を示すことがあるとされています。もっとも、これに対して当事者から2週間以内に異議が出ると、その審判は効力を失います。

ただ、離婚そのものについては、通常は「不成立なら訴訟へ」という理解で押さえておくのが実務的です。細かな派生論点で審判が問題になることはあっても、離婚の本体を裁判所に決めてもらうには人事訴訟が必要になる、という流れが基本です。

9 調停で意識したい実務上のポイント

離婚調停は、感情を吐き出す場というより、争点を整理して条件を詰める場です。調停委員は公正中立の立場で双方から事情を聞き、争点整理と合意形成を助けます。人格非難や中傷は、福岡家裁の案内でも、円滑な調停進行を難しくする可能性があるとされています。

したがって、実務では、
離婚したいのか、修復の余地があるのか、
親権・養育費・財産分与で何を求めるのか、
その裏付け資料は何か、
どこまでなら譲れるのか、
を整理して臨む方が強いです。
離婚調停は「正義をわかってもらう場」というより、「条件を詰めて決着可能かを見る場」と理解しておくと、進め方がぶれにくくなります。

10 まとめ

第17講のまとめです。
離婚調停は、夫婦間で離婚の話合いがまとまらないときに、家庭裁判所で行う話合いの手続です。申立先は原則として相手方住所地の家庭裁判所で、費用は収入印紙1200円分と郵便切手、標準的書類は戸籍謄本、事情説明書、子についての事情説明書などです。手続は、裁判官1人と調停委員2人以上で構成される調停委員会が進め、通常は双方を別々に呼んで事情を聴きます。合意すれば調停調書が作られ、その内容は確定判決と同一の効力を持ちます。離婚調停成立後は10日以内に役場へ離婚届を出す必要があります。不成立なら原則として手続は終了し、それでも離婚を求めるなら人事訴訟へ進みます。

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