第22講  視力・視野障害の後遺障害|眼の障害はどう等級化されるか

第22講
視力・視野障害の後遺障害|眼の障害はどう等級化されるか

交通事故で眼を受傷すると、視力低下、視野狭窄、複視、羞明、眼球運動障害など、さまざまな症状が残ることがあります。眼の障害は生活への影響が大きい一方で、等級認定では検査結果を中心にかなり客観的に評価される分野でもあります。そのため、眼の後遺障害を考えるときは、まず「どの機能が、どの程度落ちているのか」を整理することが重要です。

代表的なのは視力障害です。視力低下については、裸眼視力ではなく、通常は矯正視力を前提に評価されます。つまり、眼鏡やコンタクトでどこまで視力が回復するかが一つの基準になります。片眼なのか両眼なのかでも評価は大きく異なり、両眼の障害は当然ながら重く見られます。視力障害は比較的分かりやすい類型ですが、事故との因果関係が争われることもあり、既往症や加齢変化との区別が問題になることがあります。

次に重要なのが視野障害です。視野とは「見える範囲」のことで、中心は見えていても周辺が見えにくい場合や、特定方向が欠ける場合があります。視野障害は日常生活への支障が大きく、歩行時の危険や運転適性にも関わりますが、被害者本人がうまく言語化しにくいことがあります。そのため、視野検査の結果をきちんと把握し、どのような欠損があるのかを資料として示すことが大切です。

さらに、複視も実務上しばしば問題になります。物が二重に見える状態で、眼球運動の障害や神経損傷などが背景にあることがあります。複視は主観症状のように見えますが、眼科的な検査や所見によって評価される領域です。日常生活では階段の昇降や読書、パソコン作業、運転などに支障が出やすく、就労への影響も無視できません。

眼の障害で重要なのは、症状の申告だけでは足りず、検査資料が決定的に重要であるという点です。視力検査、視野検査、眼底所見、画像所見、眼球運動検査など、どの資料があるかによって認定の見通しは大きく変わります。逆にいえば、必要な検査が行われていないまま症状固定になってしまうと、後遺障害の評価が十分になされないおそれがあります。

また、眼の障害は、後遺障害等級の問題だけでなく、実際の生活・仕事への支障をどう損害に落とし込むかという問題にもつながります。とくに運転業務、機械操作、精密作業、監視業務などでは、視力や視野の障害が職業生活に直結します。したがって、認定資料の整備とともに、仕事上どのような不利益が出ているのかも整理する必要があります。

眼の後遺障害は、医学的にも実務的にも比較的整理された領域ではありますが、その分、資料不足がそのまま不利に働きやすい分野でもあります。何となく見えづらい、何となく危ない、という訴えを、検査結果と生活実態によって具体化していくことが重要です。

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