第17講 親権とは何か|離婚で最も争いになりやすい論点の基本
第17講
親権とは何か|離婚で最も争いになりやすい論点の基本

未成年の子どもがいる夫婦が離婚する場合、親権は避けて通れない論点です。離婚届を提出する際にも親権者を定めなければならず、協議で決まらなければ調停や審判、場合によっては訴訟の中で争われます。離婚に関する数多くの論点の中でも、親権は感情的な対立が最も先鋭化しやすく、かつ結論がその後の子どもの生活に長く影響するため、非常に重い意味を持ちます。
親権とは、未成年の子どもの利益のために、その身上を監護教育し、財産を管理し、法的な代理を行う権限と責任の総体をいいます。つまり、単に「子どもと一緒に暮らせる権利」ではありません。日々の養育だけでなく、進学、医療、財産管理など、子どもの人生に関わる重要事項を決める法的地位でもあります。この点を誤解していると、親権争いが「親の権利の取り合い」のようになり、判断を誤りやすくなります。
裁判所が親権を考える際の中心は、常に子の利益です。どちらの親がつらいか、どちらが怒っているかではなく、子どもにとって安定した監護環境はどちらにあるのか、これまで誰が主として世話をしてきたのか、子どもの年齢、心身の状態、学校や地域とのつながり、兄弟姉妹関係など、具体的な事情を総合して見ていきます。
したがって、親権を争う場合には、「自分は親として子を愛している」という抽象的な主張だけでは足りません。食事、通学、通院、生活リズム、学校対応、習い事、家族の支援体制など、日常の監護実態を丁寧に示すことが重要です。逆に、相手方の問題点を強く非難しすぎるだけでは、かえって子の利益という視点から遠ざかることもあります。
親権は、離婚の条件のひとつではありますが、単なる取引材料ではありません。子どもの生活の基盤を誰がどう担うのかという問題である以上、感情論を離れて、現実の養育環境を中心に組み立てる必要があります。