第18講  親権はどう決まるのか|母親優先ではなく監護実態が重い理由

第18講
親権はどう決まるのか|母親優先ではなく監護実態が重い理由

親権について、「結局は母親が有利なのではないか」という声は今でもよく聞かれます。たしかに、乳幼児の事案では母親が主たる監護者であることが多く、その結果として母親が親権者となる例は少なくありません。しかし、これは母親であること自体が法律上優先されているからではなく、実際の監護実態において母親が中心になっているケースが多いからです。したがって、実務を正確に見るならば、「母親優先」ではなく、「監護実態重視」という理解が適切です。

裁判所が重視するのは、これまで誰が食事、入浴、寝かしつけ、通院、保育園や学校対応、日々の声かけといった具体的な養育を担ってきたかという点です。これに加えて、現在の生活環境が安定しているか、今後の養育計画に無理がないか、祖父母など周囲の支援が期待できるか、兄弟姉妹を不当に分断しないか、子どもの年齢や意思をどう見るかなどが総合的に検討されます。

別居後の状況も重要です。別居後に一方が現に子どもを監護している場合、その状態が一定期間安定して継続していると、現状維持の方向が重視されやすくなります。これは「先に確保した者勝ち」という意味ではありませんが、子どもの生活を大きく動かすこと自体が負担になるため、現に安定している監護環境をどう評価するかが問題となるのです。そのため、別居の開始時点の動き方は、後の親権判断に非常に大きな影響を持ちます。

もっとも、監護実態だけで全てが決まるわけではありません。たとえば、主たる監護者であっても、子どもを相手方から不当に引き離し続けている、相手方を過度に拒絶するよう働きかけている、生活基盤が著しく不安定であるなどの事情があれば、別の評価がされることもあります。逆に、従前は仕事の都合で主たる監護を担えていなかった親でも、今後の体制整備次第で一定の主張を組み立てる余地はあります。

親権判断は、表面的な属性ではなく、具体的な養育の積み重ねと今後の安定性で決まるのが基本です。「父だから不利」「母だから有利」といった固定観念にとらわれず、子どもの生活に即した資料と説明を準備することが重要です。

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