第19講  監護権とは何か|親権との違いと分けて考える場面

第19講
監護権とは何か|親権との違いと分けて考える場面

親権と似た言葉として、監護権があります。一般には混同されやすいのですが、法律上は同じものではありません。親権は、子どもの身上監護と財産管理を含む包括的な権限ですが、監護権は、そのうち子どもを現実に養育し、日常生活の世話をする側面に関わる概念です。したがって、親権の中に監護の要素が含まれているという理解が基本になります。

もっとも、実務ではこの二つを分けて考える場面があります。典型的には、離婚前後の紛争の中で、最終的な親権者はまだ決まっていないが、差し当たりどちらが子どもを手元で監護するかが問題になる場合です。このとき、監護者指定や子の引渡しといった形で、当面の監護関係が争われることがあります。親権の最終判断とは別に、緊急性の高い生活上の問題として処理されるのです。

また、離婚後であっても、事情によっては親権者と監護者を分ける合意や判断が問題になることがあります。もっとも、親権と監護権を分けることは、理論上可能であっても常に望ましいわけではありません。子どもの生活に関する日常判断と法的判断が分裂し、かえって対立を複雑化させる危険があるからです。そのため、分ける必要性が本当にあるのかは慎重に検討しなければなりません。

監護権が争われる場面では、親権争いと同様に子の利益が中心となります。誰がこれまで主に世話をしてきたか、現在誰と暮らしているか、生活環境にどれだけ継続性があるか、引渡しや変更が子どもにどのような影響を与えるかなどが重要になります。つまり、言葉は違っても、中心にあるのはやはり子どもの生活の安定です。

親権と監護権の違いを理解しておくことは、離婚紛争の局面ごとに何が問題になっているのかを見誤らないために重要です。最終的な法的地位の問題なのか、当面の養育環境の問題なのかによって、取るべき手続も準備すべき資料も変わってきます。

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