第32講  大学費用や習い事は誰が負担するのか|算定表に出ない支出の扱い

第32講
大学費用や習い事は誰が負担するのか|算定表に出ない支出の扱い

養育費について話し合うとき、月額の基本的な金額は裁判所の算定表を参考にすることが多いですが、大学進学費用や私立学校の学費、塾代、習い事の費用などは、算定表だけでは割り切れないことが少なくありません。実務では、こうした「算定表に表れにくい支出」をどう位置づけるかがしばしば争点になります。

まず、算定表は、子どもの通常の生活費や教育費を一定程度織り込んだ標準的な目安です。そのため、すべての教育費が当然に別枠で加算されるわけではありません。他方で、私立学校への進学や大学進学のように、家庭の収入水準や従前の教育方針から見て相当といえる場合には、算定表上の養育費とは別に分担を求める余地があります。

ここで重要なのは、「その支出が夫婦の従前の合意や家庭状況に照らしてどこまで予測可能であったか」という点です。たとえば、婚姻中から私立受験を前提に教育方針が固まっていた、あるいは高収入世帯で大学進学が当然視されていたという事情があれば、追加負担を認めやすくなります。逆に、離婚後に一方が単独で高額な習い事や進学先を決め、その費用の半額を当然に請求することは難しいことがあります。

大学費用については特に誤解が多く、養育費は成人したら当然に終わる、大学費用は一切請求できない、といった単純なものではありません。未成熟子である限り扶養の必要性は問題になり得ますし、大学進学の必要性や相当性、親の資力、従前の生活状況などを踏まえて判断されます。もっとも、当然に全額負担義務が認められるわけでもなく、個別事情が大きく影響します。

実務では、こうした費用については、離婚時にできるだけ具体的に決めておくことが望まれます。たとえば、大学進学時の入学金・授業料をどう分担するか、塾代や医療費など高額支出をどう扱うかを条項化しておけば、後の紛争を減らせます。養育費の月額だけでなく、算定表に出にくい支出をどう設計するかが、長い目で見て非常に重要です。

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