第33講  財産分与とは何か|名義ではなく夫婦の共有財産としてみる考え方

第33講
財産分与とは何か|名義ではなく夫婦の共有財産としてみる考え方

財産分与は、離婚にあたって夫婦が婚姻中に形成した財産を清算する制度です。名義が夫か妻かで機械的に決まるわけではなく、婚姻中に夫婦の協力によって築かれた財産であれば、夫婦共有の実質をもつものとして分与対象になる、というのが基本的な考え方です。

実務では、「この預金は夫名義だから夫のもの」「家は妻名義だから妻のもの」と誤解されがちですが、重要なのは名義そのものではなく、どういう資金で形成され、夫婦共同生活の中でどう維持されてきたかです。典型的には、夫婦の給与収入から蓄えた預金、婚姻中に購入した不動産、積み立てた保険解約返戻金などは、名義にかかわらず財産分与の対象となり得ます。

財産分与には、一般に清算的側面、扶養的側面、慰謝料的側面があると説明されますが、実務上中心となるのは清算です。すなわち、婚姻中に形成された財産を、夫婦の寄与に応じて公平に分けるという発想です。専業主婦(主夫)で収入がなかったとしても、家事や育児によって他方の就労を支えていたのであれば、財産形成への寄与が否定されるわけではありません。

もっとも、すべてが単純に二分の一になるとは限りません。特有財産が混在している場合、自営業者や会社経営者で個人財産と事業財産が混ざっている場合、あるいは婚姻期間が短い場合などでは、何が共有財産か、寄与割合をどうみるかが問題になります。しかし、出発点としては、婚姻中に形成された財産は夫婦双方の協力の成果である、という理解が重要です。

財産分与をめぐる紛争では、感情的対立から「相手に渡したくない」という発想になりがちです。しかし、法的には制裁ではなく清算の問題です。まず対象財産を正確に洗い出し、名義ではなく実質でみることが、財産分与を考える第一歩になります。

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