第34講  どこまでが財産分与の対象になるのか|預金・保険・退職金・証券の整理

第34講
どこまでが財産分与の対象になるのか|預金・保険・退職金・証券の整理

財産分与の場面でまず問題になるのは、「何を分けるのか」という対象範囲です。実務では、預金だけでなく、生命保険、退職金、株式や投資信託などの有価証券、不動産、自動車、場合によっては仮想通貨や事業用資産まで、さまざまな財産が問題になります。重要なのは、婚姻中に夫婦の協力で形成・維持された財産かどうかを見極めることです。

典型例である預金は、もっとも分かりやすい分与対象です。もっとも、通帳残高を見れば足りるわけではなく、別居時を基準時として残高を確認し、婚姻前からの持越しや相続による入金が混ざっていないかを見ていく必要があります。名義が一方に集中していても、婚姻中の給与や生活費のやりくりの結果として形成された預金であれば、共有財産として扱われ得ます。

生命保険については、解約返戻金があるタイプであれば、その返戻金相当額が分与対象になることがあります。退職金についても、すでに受領済みならもちろん、将来支給予定の退職金でも、支給の蓋然性が高く、婚姻期間に対応する部分があるときは、対象になる余地があります。有価証券も同様で、婚姻中の資金で取得された株式や投資信託は、評価額を基準に分与対象として整理するのが通常です。

不動産については、名義、取得時期、住宅ローン残高、時価評価などを踏まえる必要がありますし、住宅ローンが残る自宅は特に複雑です。また、会社経営者や自営業者では、法人名義か個人名義か、事業資産か個人資産かが問題となり、帳簿や申告資料を丁寧に見なければならないことがあります。

財産分与では、「思いつく財産だけを並べる」のでは不十分です。預金、保険、証券、不動産、退職金などを網羅的に洗い出し、基準時を決め、資料に基づいて整理する必要があります。どこまでが対象になるのかを正確に把握することが、公平な分与の前提になります。

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