第36講 住宅ローンがある自宅はどう分けるのか|家を売るか住み続けるかの問題
第36講
住宅ローンがある自宅はどう分けるのか|家を売るか住み続けるかの問題

離婚に際して最も揉めやすい財産の一つが自宅です。特に住宅ローンが残っている場合、単に「家をどちらがもらうか」では済まず、不動産の価値、ローン残高、名義、連帯保証、居住継続の希望などが絡み合います。実務では、売却するのか、どちらかが住み続けるのか、その場合ローンをどう処理するのかが大きな問題になります。
まず確認すべきなのは、不動産の時価とローン残高の関係です。時価がローン残高を上回る、いわゆるアンダーローンであれば、差額に財産的価値があるため、財産分与の対象として比較的整理しやすいです。これに対し、ローン残高が時価を上回るオーバーローンの場合、資産価値が実質的にない、あるいはマイナスであるため、単純な分与が難しくなります。
家を売却する場合は、売却代金でローンを返済し、残額があれば分配するという整理が基本です。しかし、子どもの生活環境の維持や、監護親が住み続けたいという事情から、売却ではなく居住継続を望むケースも多くあります。その場合でも、家の名義人、ローン債務者、連帯保証人が誰かによって問題が大きく変わります。たとえば、夫名義・夫ローンの家に妻子が住み続ける場合、名義もローンもそのままだと、支払不能や売却リスクが残り続けます。
金融機関との関係も重要です。当事者間で「今後は妻が払う」と決めても、金融機関が了承しなければ、債務者変更や連帯保証解除は簡単ではありません。また、離婚後も相手名義の家に住む構造は、後の紛争の火種になりやすいため、安易な合意は危険です。
住宅ローン付き自宅の処理は、財産分与、居住権、債務負担が交差する難所です。感情的には「家を残したい」と思っても、法的・経済的に持続可能かを見極める必要があります。離婚後の生活再建まで見据えて、売却か居住継続かを慎重に判断することが重要です。