第37講  退職金は財産分与の対象になるのか|将来給付と在職中離婚の論点

第37講
退職金は財産分与の対象になるのか|将来給付と在職中離婚の論点

 

退職金は、離婚時点でまだ支給されていなくても、財産分与の対象となる場合があります。特に長年婚姻生活を続けてきた夫婦では、退職金が老後資産として重要な意味をもつため、これを無視して公平な清算をすることは難しいことがあります。

もっとも、すべての退職金が当然に分与対象になるわけではありません。すでに支給済みであれば、現に存在する財産として比較的整理しやすいですが、在職中離婚では、将来退職金が本当に支給されるのか、いくらになるのかが確定していません。そのため、実務では、退職金支給の蓋然性が高いか、会社の退職金規程があるか、勤続年数や勤務先の安定性などを踏まえて判断することになります。

対象になるとしても、婚姻期間に対応する部分に限られるのが通常です。たとえば、婚姻前の勤務期間や離婚後の勤務期間まで含めて全額を分けるわけではなく、婚姻中の共同生活が形成に寄与したといえる範囲を切り出して考えることになります。この意味で、退職金もまた「名義人個人の権利」だから当然に対象外というものではありません。

実務上は、離婚時点で自己都合退職した場合の支給見込額を基礎に按分する方法や、将来実際に受給したときに一定割合を支払う合意をする方法などが考えられます。ただし、後者は将来紛争を残しやすく、執行のしやすさにも課題があります。現時点評価で一括清算するのか、将来給付に連動させるのかは、他の財産状況も踏まえて検討する必要があります。

退職金は目に見える預金と違って見落とされやすい一方、婚姻期間が長い事案では非常に大きな意味をもちます。在職中離婚では不確実性との調整が必要ですが、対象になり得るという前提で資料を集め、支給可能性と評価方法を検討することが重要です。

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