第6講 有期雇用契約の更新管理|雇止め・無期転換をどう見据えるか
第6講
有期雇用契約の更新管理|雇止め・無期転換をどう見据えるか

有期雇用契約は、期間の定めがある以上、期間満了で終了するのが原則です。しかし、実務では「期間が来れば当然に切れる」という理解では足りません。更新が繰り返され、実質的に継続雇用への期待が形成されている場合、雇止めは簡単には認められません。労働契約法19条は、過去に反復更新された有期労働契約であって雇止めが実質的に解雇と同視できる場合、又は労働者に更新への合理的期待が認められる場合には、客観的合理的理由を欠き、社会通念上相当でない雇止めを無効とする枠組みを置いています。(elaws.e-gov.go.jp)
したがって、使用者側としては、有期契約を「正社員より軽い雇用」と捉えるのではなく、更新管理を最初から設計しておく必要があります。まず重要なのは、契約締結時に、契約期間、更新の有無、更新判断の基準を明示することです。厚生労働省のモデル様式でも、更新の有無や判断基準の記載が求められており、「契約期間満了時の業務量」「勤務成績・態度」「能力」「会社の経営状況」「従事している業務の進捗状況」などの要素が例示されています。
もっとも、書面に基準を書けば足りるわけではありません。実務では、更新を重ねながら評価記録を残さず、最後だけ「今回で終了です」と告げる運用が最も危険です。なぜなら、毎回当然のように更新してきた経緯自体が、労働者の期待を強めるからです。更新を前提とするのであれば、その都度、契約書を作り直し、更新判断を行い、問題がある場合には改善指導を記録に残す必要があります。更新のたびに「何を見て更新したのか」が説明できなければ、いざ雇止めをしたときに、会社の判断が恣意的に見えやすくなります。
さらに、無期転換への対応も不可欠です。労働契約法18条は、同一の使用者との間で有期労働契約が通算5年を超えて反復更新された場合、労働者の申込みにより期間の定めのない労働契約に転換するルールを定めています。(elaws.e-gov.go.jp) 使用者側実務では、更新回数や通算契約期間の管理が曖昧だと、無期転換申込権の発生時期を見落とし、現場で混乱が生じます。有期契約の管理は、人事だけでなく、現場管理職まで含めて共通認識を持つ必要があります。
結局のところ、有期雇用契約の更新管理は、「更新するか、切るか」の二択の問題ではありません。採用時の説明、更新基準の明示、契約更新の都度の判断、評価・指導の記録、無期転換の管理までを含む継続的な制度運用です。有期雇用を便利な調整弁として使うほど、後の雇止め紛争は起きやすくなります。だからこそ、使用者側では、更新そのものよりも、更新管理の仕組みを整えることが重要です。