【重度後遺障害】第14回 肩・肘・膝が曲がりにくくなったとき|可動域制限と後遺障害の考え方

第14回 肩・肘・膝が曲がりにくくなったとき|可動域制限と後遺障害の考え方

交通事故のあと、骨折や脱臼、靱帯損傷などをきっかけに、痛みだけでなく関節の動きそのものが悪くなることがあります。たとえば、肩が上がりきらない、肘が最後まで伸びない、膝が曲がりにくい、足首が硬くなって正座やしゃがみ込みがしづらい、といった状態です。自賠責保険・共済では、後遺障害とは、事故による傷害が治ったときに残った障害で、事故との相当因果関係があり、かつ医学的に認められるものをいいます。したがって、「まだ少し不便」という感覚だけでなく、どの関節が、どの程度動かないのかが資料で示せるかが重要になります。

関節の動きが悪くなった事案では、後遺障害等級表上、一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すものは10級10号、一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すものは12級6号、一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すものは10級11号、一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すものは12級7号とされています。さらに重い場合には、8級で「一関節の用を廃したもの」が問題になります。自賠責の限度額も、10級は461万円、12級は224万円、8級は819万円で差がありますから、可動域制限がどの等級にあたるかは賠償額に直結しやすいポイントです。

ここで大切なのは、単に「曲がりにくい」「伸びにくい」と言うだけでは足りず、可動域を測って記録に残すことです。障害認定実務では、関節運動可動域の測定は日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会の方法によるとされており、また、認定基準上、関節の運動可能領域が健側の2分の1以下なら「著しい障害」、健側の4分の3以下なら「障害」と扱う整理が示されています。つまり、後遺障害の場面では「何度まで動くか」「健康な側と比べてどれだけ制限されているか」が極めて重要です。

そのため、事故後に関節の動きが悪いままなのに、痛みが少し落ち着いた段階で治療を打ち切ってしまうと、資料上は不十分になりやすいことがあります。画像所見、診療録、リハビリの経過、症状固定時の後遺障害診断書がそろってはじめて、可動域制限の評価が具体化しやすくなります。これは、後遺障害の請求が医師の後遺障害診断書を基礎に進み、事故後に残った障害が医学的に認められるかどうかで判断される仕組みからみても自然です。

交通事故では、レントゲン上は骨がついていても、関節の硬さや可動域制限が生活や仕事に長く影響することがあります。洗濯物を干しにくい、階段がつらい、しゃがめない、長時間歩くと足首が固まる――このような支障があるなら、単なる「治った」で終わらせず、後遺障害の観点から見直す意味があります。弁護士法人森重法律事務所では、交通事故後の可動域制限について、診断書、画像、通院経過を踏まえ、後遺障害申請や賠償の見通しを含めてご相談をお受けしています。事故後に関節の動きが戻らない方は、早めにご相談ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA