【重度後遺障害】第15回 耳鳴り・難聴が残ったとき|交通事故後の聴力障害と後遺障害の考え方

第15回 耳鳴り・難聴が残ったとき|交通事故後の聴力障害と後遺障害の考え方

交通事故のあと、頭部外傷やむち打ち、強い衝撃の影響で、耳鳴り聞こえにくさが残ることがあります。外見では分かりにくいため軽く扱われがちですが、仕事や日常生活ではかなり不便です。会話が聞き取りにくい、片耳だけ詰まった感じが続く、静かな場所でも耳鳴りが消えない――このような症状は、事故後の後遺障害として問題になることがあります。自賠責の後遺障害は、施行令の等級表に該当するかどうかで判断され、認定された場合は等級に応じて保険金額が決まります。国土交通省の等級表では、聴力障害についても9級から14級まで段階的な定めがあり、後遺障害全体の保険金額は10級が461万円、11級が331万円、12級が224万円、14級が75万円です。

聴力障害で大事なのは、「聞こえにくい気がする」だけでは足りず、検査結果で裏付けることです。厚生労働省の認定基準では、聴覚障害の程度は純音による聴力レベル値と**語音による聴力検査値(語音明瞭度)**により認定するとされ、オージオメータによる測定が前提とされています。また、平均純音聴力レベルは、500・1000・2000ヘルツの値を使って算出する方法が示されています。つまり、交通事故後に難聴を主張する場面では、耳鼻科での継続受診と聴力検査の記録が極めて重要です。

等級表を見ると、たとえば第14級3号は「1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度」、第11級5号は「両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度」、第11級6号は「1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度」とされています。したがって、交通事故後の難聴では、片耳なのか両耳なのか、どの程度の聞き取り低下なのかで評価が変わります。耳鳴りについても、厚労省の認定基準では、難聴を伴い、著しい耳鳴りが常時あり、他覚的検査で立証可能なものは12級、難聴を伴い常時耳鳴りがあるものは14級を準用するとされています。耳鳴りは自覚症状として扱われやすい分、難聴の存在や検査資料の有無が結果を左右しやすい分野です。

実務上は、事故後早い段階から耳鼻科での受診歴を残すことが重要です。首や肩の痛みばかりに意識が向いて、耳鳴りや聞こえにくさを後回しにすると、後から事故との関係が争われやすくなります。とくに、事故直後から耳閉感、耳鳴り、片耳の聞き取りにくさ、めまい感があったのに診療録に残っていないと、後遺障害申請では不利になりやすいのが実情です。これは、後遺障害認定が最終的に症状の存在そのものではなく、症状固定時までの医療記録や検査結果で判断される仕組みだからです。

交通事故後の耳鳴りや難聴は、見落とされやすい一方で、生活への影響は決して小さくありません。会議や電話対応がつらい、人混みで会話が聞き取れない、夜に耳鳴りが強くて眠りにくいといった支障があるなら、単なる不快症状として済ませず、後遺障害の問題として整理する価値があります。弁護士法人森重法律事務所では、交通事故後の耳鳴り・難聴について、診断書、聴力検査、通院経過を踏まえ、後遺障害申請や賠償の見通しを含めてご相談をお受けしています。事故後に耳の症状が残っている方は、早めにご相談ください。

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