第43講 不動産の名義変更はどう進めるか|戸籍、協議書、評価証明の実務

第43講

不動産の名義変更はどう進めるか|戸籍、協議書、評価証明の実務

相続登記は、理屈としては「亡くなった人から相続人へ名義を移す」だけですが、実務では誰が相続人かどの不動産についてどの原因で誰が取得するのかを、申請書と添付書類で固めていく作業です。法務局の案内でも、遺産分割協議による相続登記には、申請書のほか、戸籍関係書類、遺産分割協議書、印鑑証明書、固定資産評価額確認書類などが必要になると整理されています。 (turn132824search0) (turn132824search6)

まず出発点になるのが、戸籍関係書類です。法務局は、被相続人の死亡の記載がある戸籍だけではなく、相続登記の申請に必要な戸籍として、出生から死亡までの連続した戸籍・除籍・改製原戸籍を前提に案内しています。また、法定相続人全員の戸籍事項証明書も必要になります。これは、登記官が「誰が相続人か」を客観的に確認するためであり、前婚の子や代襲相続人の有無まで含めて証明しなければならないからです。 (turn132824search0) (turn132824search10)

次に必要なのが、被相続人と新所有者の住所関係資料です。法務局の必要書類一覧では、被相続人については住民票の除票や戸籍の附票等が問題になり、新たに所有者となる相続人については住民票の写しが必要になると整理されています。相続登記は、単に名前だけを書けば通るのではなく、登記簿上の住所表示まで連結して確認されるため、ここで資料が欠けると止まりやすいです。 (turn132824search0) (turn132824search7)

そして、遺産分割協議で不動産の帰属を決めたなら、遺産分割協議書が核心になります。法務局の記載例やチェックシートでは、遺産分割協議書には相続人全員が押印し、その押印に対応する印鑑証明書を添付する前提で整理されています。印鑑証明書は、遺産分割協議書に押された印鑑が真正であることを裏付ける資料として要求されます。つまり、協議書は単なるメモではなく、全相続人の真正な合意を証明する書面として作らなければなりません。 (turn132824search0) (turn132824search14)

不動産の書き方も重要です。法務局の申請書記載例では、申請の対象となる不動産の表示は、登記事項証明書等に記載されているとおりに正確に記載するよう求めています。所在地の呼び方や通称ではなく、土地なら所在・地番・地目・地積、建物なら所在・家屋番号・種類・構造・床面積といった、登記記録どおりの表示が必要です。ここがずれると、「実家一棟」といった感覚ではまとまっていても、登記申請としては通りません。 (turn132824search6) (turn132824search12)

さらに必要になるのが、固定資産評価額を確認する資料です。法務局の必要書類一覧やチェックシートでは、固定資産課税明細書、固定資産評価証明書などが評価額確認書類として挙げられています。これは、登録免許税の計算基礎になるからです。実務では毎年送られてくる固定資産税の納税通知書に同封された課税明細書で足りることもありますが、手元にない場合には市区町村で評価証明書を取り直す発想が必要です。 (turn132824search0) (turn132824search10)

申請書そのものには、少なくとも、登記の目的、原因、相続人、添付情報、課税価格、登録免許税、不動産の表示などを記載します。法務局の新しい申請書様式案内でも、遺産分割協議によって不動産を相続した場合の申請書記載例が用意されており、実務ではその様式に沿って作るのが安全です。自分で作成する場合でも、法務局の記載例を土台にしないと、目的や原因欄の書き方でつまずきやすくなります。 (turn132824search11) (turn132824search12)

ここで、実務上かなり役に立つのが相続関係説明図法定相続情報証明制度です。法務局の案内では、相続関係説明図を付けることで戸籍原本の還付を受けやすくなり、また法定相続情報証明制度を使えば、戸籍の束の代わりに法定相続情報一覧図の写しを各種手続で利用できると説明されています。不動産登記だけでなく、銀行や税務の手続も続くことが多いので、最初から一覧図まで取っておく方が全体の作業は軽くなります。 (turn132824search13) (turn132824search2)

では、どこで止まりやすいのか。実務で多いのは、戸籍が足りない協議書の押印者が欠けている不動産の表示が登記どおりでない評価証明がない添付資料同士で氏名・住所表記が食い違う、という場面です。法務局自身も、提出後に登記官から訂正や追加提出を求められることがあると案内しており、事前案内はあくまで一般的説明にとどまるとしています。つまり、相続登記は、書類を一応そろえたつもりでも、細部の不一致で止まりやすい手続です。 (turn132824search2) (turn132824search13)

結局のところ、不動産の名義変更は、①戸籍で相続人を固める、②協議書で誰が取得するかを固める、③登記どおりの不動産表示を用意する、④評価資料で課税価格を固める、⑤申請書に落とすという順番で進めるのが基本です。相続登記の義務化が始まった今、名義変更は「余裕ができたらやる後回し作業」ではなく、期限管理を要する本番の手続になっています。 (turn132824search0) (turn132824search11)

44講では、相続税が問題になるのはどんな場合か|まず押さえるべき基本だけを扱います。ここからは税務に入りますが、細かい節税論より先に、「どの相続で税務を意識すべきか」の見取り図を押さえます。

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