第17講 手足のしびれはどう評価されるか|神経症状の立証の難しさ

第17講 手足のしびれはどう評価されるか|神経症状の立証の難しさ

交通事故後の相談でよく出てくる症状の一つが、手足のしびれです。首のけがのあとに腕や手がしびれる、腰のけがのあとに脚や足先がしびれる、といった訴えは少なくありません。しかし、しびれは本人には明確でも、外から見えにくい症状です。そのため、実務では「あるか、ないか」ではなく、「どう裏づけるか」が問題になります。

しびれの立証が難しいのは、痛み以上に主観的な訴えと受け取られやすいからです。本人が繰り返ししびれを訴えていても、診療録に具体的部位や程度が記載されていなかったり、時期によって訴えの場所が変わっていたりすると、症状の一貫性に疑問を持たれやすくなります。逆に、事故直後から一定の部位にしびれがあり、診療録にも継続的に記録され、神経学的検査や画像所見と整合していれば、評価は大きく変わります。

実務上は、しびれの「部位」と「広がり方」が重要です。どの指がしびれるのか、腕の外側なのか内側なのか、脚のどの範囲なのか、左右差はあるのか、といった点は、神経根や末梢神経との対応関係を考える基礎になります。こうした具体性がないと、単なる漠然とした訴えとして扱われやすくなります。

また、しびれは画像と対応しないこともあります。画像上はっきりした圧迫所見がなくても、症状が続いていることはありますし、逆に画像上異常があっても症状との位置関係が合わないこともあります。したがって、画像だけで決まるわけではありませんが、画像、診察所見、自覚症状の三者がどれだけかみ合っているかが非常に重要です。

しびれがある案件で強くなりやすいのは、神経学的検査所見がある場合、筋力低下や知覚異常が記録されている場合、電気生理学的検査や画像所見が補強する場合、症状が一貫して通院記録に残っている場合です。反対に弱点になりやすいのは、事故直後にしびれの訴えが乏しい場合、通院中に症状の部位や内容が頻繁に変わる場合、日常生活上の支障が具体化されていない場合などです。

しびれの案件では、被害者本人が「こんなに困っているのに伝わらない」と感じやすい一方で、認定側は資料に現れたものしか見られません。このギャップを埋めるには、診療の段階から症状を具体的に伝え、記録に残してもらうことが大切です。しびれは曖昧な症状ではなく、部位、程度、持続性、誘発動作を丁寧に整理すれば、十分に評価対象になります。難しいのは、症状そのものではなく、それを資料としてどう見せるかです。

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