第27講  婚姻費用とは何か|別居中の生活費をどう請求するか

第27講
婚姻費用とは何か|別居中の生活費をどう請求するか

夫婦が別居しても、離婚が成立するまでは法律上の夫婦であることに変わりはありません。そのため、収入の多い側が、収入の少ない側や子どもの生活を支える義務を負うことがあります。これが婚姻費用です。実務では「こんぴ」と略して呼ばれることもありますが、中身は別居中の生活費の分担問題です。

婚姻費用に含まれるのは、衣食住に必要な生活費だけではありません。子どもの養育に必要な費用、通常の教育費、社会生活を維持するために必要な支出も含めて考えられます。したがって、別居した以上は完全に各自で生活する、という発想にはなりません。特に、専業主婦(主夫)や収入差の大きい夫婦では、婚姻費用の確保が生活基盤そのものになります。

請求方法としては、まず話し合いが考えられますが、まとまらない場合には家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停を申し立てることになります。調停で合意できなければ審判に移行し、裁判所が金額を決めます。重要なのは、婚姻費用は原則として「請求した時」から認められる方向で扱われやすいということです。別居しているのに何もせず放置していると、その分だけ不利になることがあります。

また、相手が任意に払わない場合には、調停調書や審判書をもとに強制執行が可能になることもあります。したがって、婚姻費用は単なるお願いではなく、法的に確保しうる生活費だという理解が大切です。

離婚問題では、最終的な財産分与や親権ばかりに目が向きがちですが、別居中の生活をどう維持するかは極めて現実的で切実な問題です。婚姻費用は、その初動を支える中心的な制度といえます。

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