第26講 再婚や交際相手の存在は親権に影響するのか|生活環境評価の実際
第26講
再婚や交際相手の存在は親権に影響するのか|生活環境評価の実際

親権を争う場面で、「再婚予定がある」「交際相手がいる」という事情を不安に感じる人は少なくありません。とくに相手方から、「そんな生活環境では親権者にふさわしくない」と攻撃されることがあります。しかし、再婚や交際そのものが直ちに不利に働くわけではありません。問題は、その事情が子どもの生活や福祉にどのような影響を与えているかです。
たとえば、交際相手が子どもに対して不適切な言動をしている、生活が不安定で頻繁に同居状況が変わる、子どもが強い不安や拒否感を示している、監護がおろそかになっている、といった事情があれば、生活環境として問題視される可能性があります。逆に、交際相手の存在があっても、子どもの生活が安定しており、日常の養育が適切に行われているのであれば、それだけで親権判断が左右されるとは限りません。
裁判所が見ているのは、道徳的な好き嫌いではなく、あくまで子どもの利益です。そのため、「再婚したからダメ」「恋人がいるからダメ」という短絡的な評価にはなりません。親が新しい生活を築くこと自体は珍しいことではなく、重要なのは、その過程で子どもが無理を強いられていないか、安心して暮らせているかという点です。
また、この論点では、相手方が感情的に誇張して主張することもよくあります。しかし、実際に重視されるのは、生活実態を裏づける客観的事情です。学校や保育園での様子、居住環境、生活リズム、監護の継続性など、具体的な事実が重要になります。
再婚や交際相手の存在は、親権判断の一要素にはなりえますが、それ自体が決定打になるわけではありません。子どもの暮らしが安定しているかどうか、そこが本当の評価ポイントです。