第14講 14級9号とは何か|局部に神経症状を残すものの考え方

第14講 14級9号とは何か|局部に神経症状を残すものの考え方

後遺障害の実務で最も頻繁に問題となる等級の一つが14級9号です。一般に「局部に神経症状を残すもの」とされ、むち打ちや腰椎捻挫などで痛みやしびれが残った場面で中心的に争われます。相談の現場でもよく耳にする等級ですが、その意味を正確に理解しておかないと、「症状があるのになぜ非該当なのか」「14級なら軽いから簡単なのではないか」といった誤解が生じます。

14級9号のポイントは、重い画像所見や明確な神経損傷がなくても、症状の残存が一定程度客観的に裏づけられれば認定の対象になりうる、という点にあります。裏を返せば、客観的裏づけがまったくない単なる訴えだけでは足りません。ここでいう客観性は、必ずしもMRI画像だけを意味しません。事故後からの継続した通院経過、症状の一貫した訴え、診療録上の記載、神経学的テスト所見、治療経過との整合性など、複数の要素の積み重ねによって支えられることがあります。

14級9号が問題になる典型場面では、「画像ははっきりしないが、症状は続いている」という構図が多くみられます。このとき重要なのは、画像が弱いこと自体ではなく、画像以外の資料がどれだけ丁寧に積み上がっているかです。痛みやしびれが事故直後から存在し、通院中も一貫して訴えられ、生活や就労に一定の支障が出ており、しかも診療録にそれが反映されているなら、14級9号の可能性は出てきます。

他方で、14級9号は「軽い等級」だから認定されやすい、という理解は誤りです。確かに高位等級に比べれば症状の程度は相対的に軽いと整理されますが、認定実務ではむしろ件数が多いために、症状の連続性や資料の整合性がかなり丁寧に見られます。初診時の訴えが弱い、通院が飛び飛びである、途中で症状内容が変わる、仕事復帰後の実態が不明確、といった事情は不利に働きやすくなります。

また、14級9号は認定されたとしても、それで賠償額が自動的に決まるわけではありません。後遺障害慰謝料だけでなく、逸失利益がどの程度認められるか、労働能力喪失期間を何年とみるか、被害者の職種や仕事内容にどのような影響があるかなど、示談や訴訟では別の争点が続きます。つまり、14級9号はゴールではなく、賠償実務の入口でもあります。

14級9号を理解するうえで大切なのは、「画像が弱い事案の受け皿」という雑な把握ではなく、見えにくい神経症状を資料の積み重ねでどこまで客観化できるか、という発想です。認定の可否は、症状の存在をどう証明するかにかかっています。実務上きわめて重要な等級といわれるのは、その線引きが多くの案件で勝敗を分けるからです。

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