第22講 面会交流を拒否できるのはどんな場合か|安全確保と子の利益の考え方
第22講
面会交流を拒否できるのはどんな場合か|安全確保と子の利益の考え方

面会交流は、原則として子どもの利益に資する限り実施されるべきものと考えられています。しかし、いつでも当然に認められるわけではありません。最も重要なのは「会わせることが子どもにとって本当にプラスなのか」という点であり、場合によっては制限や中止が相当とされることもあります。
典型的に問題になるのは、暴力や虐待がある場合です。配偶者に対するDVがあるときはもちろん、子どもに対する身体的・心理的虐待の疑いがある場合には、面会交流をそのまま実施することは危険です。また、直接の暴力がなくても、子どもを強く威圧する、不安にさせる、監護親を執拗に非難する、連れ去りをうかがわせる発言をする、といった事情があれば、子どもの利益に反する可能性があります。
ただし、監護親が「会わせたくない」と感じていることだけで直ちに拒否が認められるわけではありません。夫婦関係が破綻している以上、相手に不信感や嫌悪感を抱くのは自然ですが、面会交流の可否はあくまで子ども基準で判断されます。親同士の感情と、子どもの利益は分けて考える必要があります。
そのため実務では、全面的に拒否するかどうかの二者択一ではなく、第三者機関を利用する、短時間に限定する、受渡し方法を工夫する、オンライン交流から始める、宿泊を認めないなど、危険を減らしながら実施可能性を探ることも少なくありません。安全確保と関係維持の両立を図る発想です。
面会交流を拒否できるのは、単に「嫌だから」ではなく、会わせることが子どもの安全や福祉を害する具体的なおそれがある場合です。拒否を主張する側には、そのおそれをできる限り客観的に示す準備が求められます。