第23講 監護者指定・子の引渡しとは何か|別居直後に急ぐべき手続
第23講
監護者指定・子の引渡しとは何か|別居直後に急ぐべき手続

夫婦が別居するとき、子どもをどちらが主として養育するかが明確に決まっていない場合があります。このとき重要になるのが、監護者指定と子の引渡しという手続です。親権は離婚時に最終的に決まることが多いのに対し、監護者指定は、離婚成立前を含めて「現時点で誰が子どもを主として監護養育するのが適切か」を定めるものです。
この論点が特に重要なのは、別居直後の動きがその後の親権判断にも大きく影響しうるからです。実務では、現に安定して監護している実績、いわゆる監護の継続性が重視されます。そのため、別居の混乱の中で子どもの生活環境が一方に固定されると、その後にこれを覆すことは容易ではありません。
子の引渡しは、現に他方が子どもを抱えている場合に、適切な監護者のもとに子どもを移すことを求める手続です。緊急性が高い場合には、審判だけでなく保全処分が問題になることもあります。特に、突然の連れ去りに近い形で子どもが移されてしまった事案では、時間が経つほど既成事実化しやすく、初動が極めて重要です。
もっとも、単に「自分の方が親権者にふさわしい」と抽象的に主張するだけでは足りません。誰が日常的に世話をしてきたか、保育園や学校との連絡を担っていたのはどちらか、住環境はどうか、仕事との両立は可能か、補助してくれる親族はいるかなど、生活実態を具体的に示す必要があります。
別居直後は感情が激しく動きがちですが、子どもの監護をめぐる問題は、後回しにすると不利が固定されやすい分野です。監護者指定・子の引渡しは、まさに「急ぐべき手続」がある典型場面だといえます。