第24講  家庭裁判所調査官は何を見るのか|親権争いで重視される実情調査

第24講
家庭裁判所調査官は何を見るのか|親権争いで重視される実情調査

 

親権や監護者、面会交流をめぐる紛争では、家庭裁判所調査官が事実関係を調査することがあります。調査官は裁判官とは別に、家庭内の実情や子どもの状況を把握する役割を担っており、その報告書や意見は実務上かなり重視されます。したがって、「裁判所では法律だけで決まる」と考えていると、実際の運用とのズレが生じます。

調査官が見るのは、表向きの主張よりも、日常の監護実態です。たとえば、子どもの起床・食事・通園通学・受診・就寝まで、普段の世話を誰がどの程度担っているのか、家の中が落ち着いた環境になっているか、子どもが安心して生活できているか、といった点が見られます。また、子どもに対する接し方だけでなく、相手方への態度や、紛争の中で子どもをどう位置づけているかも観察対象になります。

特に問題になりやすいのは、子どもを「自分の味方」にしようとする態度です。相手親の悪口を吹き込む、調査の場で子どもに不自然な受け答えをさせる、子どもの不安を煽る、といった行為は強いマイナス評価につながりえます。親権争いは感情的になりやすいものの、子どもを紛争の道具にしていないかは厳しく見られます。

また、調査官調査では、部屋が広いか、収入が高いかといった単純な比較だけで決まるわけではありません。経済力は一要素にすぎず、むしろ生活の安定性、継続性、親の柔軟性、子どもへの配慮の方が重要になることも多いのです。

家庭裁判所調査官は、「どちらが正しい親か」を抽象的に裁く存在ではなく、「この子が今後どこでどう暮らすのが最も安定するか」を具体的に見ています。親権を争う場面では、この視点を外さないことが大切です。

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