第15講 12級13号とは何か|他覚所見のある神経症状が意味するもの

第15講 12級13号とは何か|他覚所見のある神経症状が意味するもの

12級13号は、一般に「局部に頑固な神経症状を残すもの」と説明されることが多く、14級9号より一段重い位置づけで理解されています。むち打ちや腰部外傷の事案でも問題になりますが、14級9号との違いを決めるのは、症状の強さだけではありません。核心は、神経症状について、医学的・客観的な裏づけがより強く認められるかどうかにあります。

ここでいう他覚所見とは、被害者本人の「痛い」「しびれる」という訴えだけでなく、画像所見や検査所見など、外から確認できる資料によって神経症状との結びつきが示されることを意味します。典型的には、MRIやCTで神経根への圧迫や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄などが確認され、その所見が症状の部位や内容と整合している場合が問題になります。ただし、画像に異常があるだけでは足りず、その異常が実際の症状とどこまで対応しているかが重要です。

たとえば、首の画像に加齢性変化が見られることは珍しくありません。しかし、その変化が事故によって悪化したのか、もともとの所見なのか、現在のしびれや放散痛とどの程度結びつくのかは別問題です。12級13号が認められるためには、単に「何か写っている」ことではなく、「その所見が現在の神経症状を説明する力を持っている」ことが求められます。

また、他覚所見は画像だけではありません。腱反射異常、筋力低下、知覚障害、神経学的検査所見などが補強材料となることがあります。これらが診療経過の中で一貫して記録されていれば、12級13号を支える事情になります。逆に、画像所見はあるものの、症状との対応が曖昧であったり、診察所見が乏しかったりすると、14級9号にとどまる、あるいは非該当にとどまることもあります。

12級13号が重要なのは、認定されれば賠償額への影響が相当大きいからです。慰謝料の水準だけでなく、逸失利益の喪失率や喪失期間の議論にも大きく関わってきます。そのため、保険会社側も認定機関も、14級9号以上に客観資料の中身を重視する傾向があります。「症状は強いのに12級にならない」という相談が多いのは、この客観資料の壁があるからです。

12級13号を目指す案件では、画像の有無だけを見て一喜一憂するのではなく、その画像が症状とどう対応するか、診療録や神経学的所見がどう支えるか、事故前症状との切り分けができるかを丁寧に検討する必要があります。他覚所見があるというのは、単なるラベルではありません。症状の存在と内容が、医学的資料によってより強く裏づけられている、という意味を持っています。

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