第20講 頭部外傷後の後遺障害|画像が弱い場合でも争えるのか

第20講 頭部外傷後の後遺障害|画像が弱い場合でも争えるのか

交通事故で頭を打ったあと、「画像では大きな異常はないと言われたが、どうも元に戻っていない」という相談は少なくありません。頭部外傷後の後遺障害、とりわけ高次脳機能障害や慢性的な頭痛、めまい、集中力低下などが疑われる場面では、画像所見が弱いことが大きな悩みになります。では、画像が弱い場合はもう争えないのかというと、必ずしもそうではありません。ただし、当然に厳しくなるのも事実です。

まず確認すべきなのは、急性期の資料です。事故直後の意識障害の有無、救急搬送記録、頭部CTやMRI、入院経過、神経症状の記録などは、後の認定や賠償に大きく影響します。びまん性軸索損傷や軽度外傷性脳損傷が疑われる事案では、初期の記録が後から非常に重要になることがあります。事故直後には大きな問題が見えなくても、その後に症状が続くことがあるからです。

画像が弱い場合に大事なのは、画像以外の資料をどこまでそろえられるかです。具体的には、事故前後での認知機能や性格変化、仕事上のミスの増加、日常生活での支障、家族の観察記録、神経心理学的検査の結果などです。特に、事故前には普通にできていたことが、事故後にはできなくなったという事実を、具体的なエピソードで示すことが重要になります。

ただし、画像が弱い案件には限界もあります。頭痛、倦怠感、集中困難といった症状は現実に深刻でも、他の要因でも説明できることがあり、認定実務では慎重に見られます。したがって、単に「つらい」というだけでなく、その症状が事故後一貫して続いていること、他の事情では説明しにくいこと、生活や就労に具体的な影響が出ていることを丁寧に示さなければなりません。

また、頭部外傷後の案件では、医療側でも診断名や評価が割れることがあります。脳外科、神経内科、精神科、リハビリ科など、どの科でどのように評価されるかによって、資料の色合いが変わることもあります。したがって、どの資料が認定や賠償実務で意味を持つのかを見極めながら進める必要があります。

画像が弱いから争えない、というのは言いすぎです。しかし、画像が弱いなら、その分だけ他の資料で補わなければならない、というのは確かです。頭部外傷後の後遺障害は、画像の有無だけではなく、事故直後の経過、症状の持続、検査結果、生活上の変化を総合して評価されます。だからこそ、初期段階から資料を散逸させず、あとでつながる形で残していくことが重要になります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA